シェア
成田 くうこう (小説、詩、エッセイ)
2017年8月29日 16:37
ある朝、宮島信吾は会社に行く途中、駅のホームで丸々と肥った男に突然声をかけられた。見覚えのない相手の顔を、判然としないままにしばらく見つめ続けていると、相手は親しげに「高校の…」とか「陸上部が…」などの身に覚えのある話をし始めて、そしてその口から共通の友人の名前が幾つか挙がった所で、ようやく信吾は目の前の男が高校時代の同級生であり、陸上部の同期である事に気が付いた。 いくら声が変わらないと