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🥂 日にち薬

今日は日にち薬の話をします。
大好きな瀬戸内寂聴さん曰く、日にち薬は京都の言葉らしいのですが、本当なのかは謎です。

本当に時間って偉大。大好きだった人との関係性も、大好きという強く鋭い角が取れていって、柔らかくなっていって、ちょうど良い関係性になっていく時はなっていくんですよね。

その昔、とーっても大好きになった人がいて。
丁度ワインの沼に両足を踏み入れた頃。ワインをちょうど良い感じに嗜んでらした、余裕のある方。その人とワインを楽しむ日が決まれば、その日に焦点を合わせていろいろと頑張っていたものです。

大好きって感情は、幸せより、なんとなく辛いと思わせられる時間の方が多い。
そこに、日にち薬がいつの間にかそばにいるんですよね。

月日が立てば関係性は変わる。
昔は、ふたりで飲みたーい邪魔者はいらなーいもっと一緒にいたーいみたいなスタンスだったのに、今では何人かと飲むのも楽しいし、ふたりでいても素敵な友だちになっているもんなぁ。でも、今も大好き。
“大好き”という言葉は一緒でも、意味合いって変わっていくものなんですね。

ワインでも、日にち薬ってとっても大事。
つよつよのグロフィエだって、強く鋭い角が取れていって、こんなに美しい泉のようなワインに昇華されるんですもの。
アムルーズの若木で作られた、77のシャンボールミュジニー。うっとりするようなロマンチックなワインを、大好きな人とただただ楽しく味わった、良い夜でした。


今すぐコルクを抜くのではなく、10年後、30年後、もしかしたら50年後に最高の状態で幸せを味わえるようにしたい、そう思って向き合っていることがありますが、そんなゆっくりしてられる年齢でもないし、果たしてコルクを開けた時、微笑んでくれるのか。そもそもコルクは開けられるのか。まったく読めないのは、ワインも人間関係も、恋人関係も同じみたいです。


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