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7/4〜7/8の日記

7月4日(月)
出荷やメールの返信をして、Bookshop.orgのリストから良い本がないかチェックした。https://bookshop.org/
Bookshop.orgについては佐久間裕美子さんの『WEの市民革命』にも記載があったし、版権エージェント2 Seas Agencyのポッドキャストでも創業者のインタビューがある。

これはAmazon型ではなく、地元書店に利益が還元されるようなモデルのオンラインブックストアで(日本だと、自宅配送のウェブ購入でも指定した書店に利益の一部が入る「e-hon」が近いかも)、地元書店には小売価格の30%が入るそう。サイトのトップには地元書店に入った収益額が表示されている。現在なんと2124万9513ドル(約29億円)! すごい!
このサイトの面白い点は、メールマガジンなどで、地元書店の人々がそれぞれのおすすめ書籍を自分の言葉で紹介しているところ。それと、テーマ別のブックリストも充実しているので、翻訳を検討できそうな本のリストを作成するには便利だ。Bookshop.orgのベストセラーランキングを見ると、LGBTQIA+やアフリカ系アメリカ人が著者の書籍が人気な様子。毎週有益な情報を送ってくださる「日販アイ・ピー・エス」のニューズレターによれば、LGBTの方々は書籍の購入率がそうじゃない人よりもずっと高いというアメリカの調査結果があるのだという。

7月5日(火)
noteの更新やメールマガジン配信の準備、発送をしていてすぐお昼に。ナツメ書店 / Sleep Coffee and Roasterさんが『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』を紹介するYouTube動画を上げてくださったのを発見して、作業をしながら拝見した。

ちょうどご自身がお金の管理について考え始めたときにこの本を手に取ったとお話しされていて、私も最初からハウツー本に手を出すことに抵抗感があってこの本を買ったなあと懐かしく思い出した。そういった、自分のお金の使い方や投資や貯蓄に漠然と興味を持った方が最初に読む本として、もっとこの本が広がってほしいなと思いました。素敵なご紹介をありがとうございました!

7月6日(水)
先日の版元ドットコムのオンラインセミナーを受けて、FAXで既刊の営業をしようということになり、注文書の文案を作成。

7月7日(木)
来週『仕事文脈』の企画会議なので、特集関連の企画書を作成。タバブックスnet storeに商品を登録したりした。

7月8日(金)
職場ではラジオがついているけれども、熱心に聴いているわけじゃないので(最近はビヨンセの新曲がずっとかかっている。その前は山下達郎で、その前はリナ・サワヤマだった)お昼前ぐらいに「奈良で……元首相が……倒れている」と言っていたときは、何がなんだかわからなかった。インターネットで検索するとぼやぼやと事件のあらましが見えてきて、そのうちに、銃撃されたらしい、心肺停止状態らしい、とアップデートされていったので、見るのをやめた。ラジオDJも、夕方までずっと普段通りの進行をしていた。動揺したけれど、発送や請求書の作成など普段の仕事をする。

(7月9日・土)
休日、予定と予定との間が2時間ほど空いたので、先輩が働いている目黒雅叙園の百段階段の展示を見て、坂を登るのが面倒でAmazon本社のエスカレーターから目黒駅に戻ろうとすると、道すがらに素敵な書店が現れる。よく見ると中に久禮さんが働いていらっしゃったので、ニューオープンのフラヌール書店さんだ!と気が付きました。タバブックスの本もお取り扱いいただいています。リッチな気分になれる目黒雅叙園(「千と千尋の神隠し」のモデルになったという〈再現化粧室〉も行ってみてください)と、いつまでも素敵な本を眺めていたくなるフラヌール書店さんとの梯子、おすすめです。


※宮川さんから「その週に読んだ本を紹介してみたら?」と提案されたので、今週から書いてみることにします。

私は出勤・退勤ラッシュとは逆方向の電車に乗っているので、だいたい電車では座ることができて、音楽を聴きながら10分ぐらいずつ読書をする。と、1日に30~50ページぐらいが読めるので、ちびちびと、電車内で読まないこともあるため2週間ほどで1冊を読んでいる。大学では哲学も勉強していたので、思想書も読むし、軽いエッセイ本を読むことも多い。

初回なので、今月読んでいた2冊の感想です(来週から1冊になります。)

和泉真澄・坂下史子・土屋和代・三牧聖子・吉原真里著
『私たちが声を上げるとき アメリカを変えた10の問い』(集英社新書)

同志社大学の三牧聖子先生にお送りいただきました。どうもありがとうございます!
アメリカの近現代史が専門の5人が共同で書いている本書は、伊藤詩織さんが自分の性被害を公表した時よりも前から企画されていたと冒頭にある。アメリカのフェミニストといえば、RBGとかハリエットとかNASAの数学者とかが頭に浮かぶけれど、本書では、私の予想とはちょっと違い、大坂なおみさんの章に始まり(実はセリーナ・ウィリアムズについて多くが解説されている)、AOCなどの若手政治家、そして2部構成の後半ではローザ・パークスやアンジェラ・デイヴィスなどの少し前の世代について、アメリカで活躍している/活躍した女性たちの生涯や功績が紹介されている。ハワイで先住民運動を繰り広げたハウナニ=ケイ・トラスクや若手政治家のステイシー・エイブラムスなど、これまで知らなかった人も多く、改めて個々人のエネルギーに驚かされ、また励まされた。各章の最後には、次の人物につながる現代の事象や理論などを紹介した短いコラムが差し挟まれていて、各章の執筆者のリレーのようになっている。登場する女性たちや執筆陣から、自分のいる場所で何ができるのかという問いかけを受け止めました。

リズ・タシーロ著、雨海弘美訳
『ひとりな理由はきかないで』(ヴィレッジブックス)

映画「How to be single(ワタシが私を見つけるまで)」が大好きなので、中古で原作本を買った。ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の制作メンバーによる創作小説(とはいえ著者は実際に世界中を取材して回っていて、その様子もウェブにアップしていたそう)。
ニューヨークに暮らす、38歳で彼氏なしの主人公は、離婚したり婚活をしたりしている別の友人を見て、世界中のシングルを取材することを思い立つ。イタリア、ブラジル、インドネシア、インド、中国……等々の女性たちにインタビューをしながら、新たに恋をしたり傷ついたりする(たぶん各国で登場する独身女性たちの声はリアル)。
結局、登場人物たちは運命の王子様には全然出会えないのだけれど、「若いママ」になる想像図とは別れをつけながら、将来の希望は否定しない。映画版とは全く違うストーリーだけれども、大好きな『食べて、祈って、恋をして』の原作本と同じような雰囲気が感じられて、楽しい読書体験でした。

(山口)

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