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7/25〜7/29の日記

7月25日(月)
新刊『何卒よろしくお願いいたします』を書店さんへ発送する日なので気合を入れる。私が納品書などを作成してどんどん印刷していくそばから、葛原さんが次から次へと丁寧に書籍を梱包してくださったので、かなりの数の発送ができたし、明日発送予定の分の梱包も進めることができた。タバブックスnet storeでご注文をいただいた個人のお客様の分の発送準備も完了。すでにSNSでの反響が大きいので、読者の方の感想を楽しみに思う。
合わせて、週末のBOOK MARKETでお買い上げいただいた書籍のスリップを数えながら、売り上げ数と金額が合っているかを計算する。金額が合っていて安心した。
 
7月26日(火)
今日も発送の続き……なのだが、出勤後まもなく週末のBOOK MARKETの残りの書籍が宅配便で戻ってきたので、共用のテーブルに書籍を広げ、冊数を確認しながら一つ一つダメージがないか検品した。
作業スペースが限られてしまったので、出勤してきた椋本さんに「出勤後すぐに申し訳ないんですが、昨日葛原さんが梱包してくれた分の発送をしてきてください」と頼んで、郵便局と何回も往復してもらう(ありがとうございました)。
そのうち検品を終えてテーブルが空き、戻ってきた椋本さんは残りの梱包や発送作業をしてくださり、私は追加発注分の納品書をつくったり売り上げ数を一覧表に記入したりした。午後は、昨日納品書などの発行で忙しくnoteの更新を忘れていたことに気が付き、書きためていた分を読み直して修正したり加筆したりする。
 
7月27日(水)
追加注文があった書店さんへ書籍を発送する。取次からは売上と返品の数と金額を記した計算書が届いていたので、月末に向けて、売り上げ数と返品数を一覧表に記入していく。一つ一つは単純な作業だけれど、60近くの書籍をチェックしていくので時間がかかる。毎日の発送で「この書籍、最近よく注文が来るな」という印象を漠然と抱いていると、月末には数字としてあらわれるのですごく勉強になる。
気分転換ついでに、迷惑メールの数が再び増えてきたのが気になっていたので、迷惑メールアドレスリストの更新と、スパムフォルダにお客様からのメールがまぎれていないかを確認した。
 
7月28日(木)
出勤するといつも朝一でAmazonからの発注数を確認して記録し、その後はSNSで書籍の反応をチェックする。木曜日は朝一人なので、SNSのチェックの前に軽く掃除機をかける。掃除を終えてからパソコンを見ると、新刊を受け取った複数の書店さんが素敵な写真付きでSNSに投稿をしてくださっていたので、Instagramのストーリーでシェアしたり、Twitterでリツイートしたりした。ストーリー機能の使い方が上手な書店さんもあって勉強になる。一通りSNSチェックが終わってからは、注文いただいた書籍の発送をしたり、昨日に引き続き、売り上げと返品数の記入をしたりする。月末なので交通費を計算し精算してもらう。
 
7月29日(金)
今日も引き続き新刊の発送。今日は外で仕事の宮川さんが朝のうちに請求書などを作ってくださっていたので、それを印刷したり宛名のシールを作ったりして、げじまさんの出勤後に梱包して発送した。それからもタバブックスnet storeや書店さんからの注文が相次ぎ、納品書などを作ったりして、午後3時に早退。


今週読んだ本


①佐々木美佳『タゴール・ソングス』(三輪舎)
②ウェブスター/土屋京子訳『あしながおじさん』(光文社新訳文庫)

  ①佐々木美佳『タゴール・ソングス』(三輪舎)

先週末のBOOK MARKET 2022で購入した1冊。私は今まで2度インドに旅行しているが、2020年のステイホームの時期にストリーミングで映画「タゴール・ソングス」を見たのも、インドの映画というのが理由だった。見る前は、東京外国語大学のベンガル語専攻の人が作った映画というのだからお勉強的な内容なのだろう……と単純に考えていたけれども、実際は本当に本当に素晴らしくて、視聴期限内に5回ほど繰り返して見て、すっかりタゴールとタゴール・ソングスのファンになってしまい、タゴールの詩集を買いそろえ、Spitifyで曲を聴いた。

ノーベル賞受賞者としても有名な詩人のタゴールは、実は2000曲以上の歌もつくっている。この映画は、タゴール・ソングスの素晴らしい音色、そして佐々木監督が訳したじんわり勇気をくれる優しい歌詞の字幕とともに、インドやバングラデシュ、そして日本にいる、タゴール・ソングスを愛するさまざまな人々の姿を丁寧に追ったドキュメンタリーだ。

書籍では、映画内でもとりわけ印象に残る3組の人々について、その出会いやかれらとの会話、その後について触れられていて、映画では見えなかった部分も書かれている。この本も通勤途中に読んで、電車に揺られながら、監督と一緒にベンガルを旅しているような気持ちになった。読み返して再度映画も見たくなったが、映画を未見の人でも楽しめる内容だと思う。歌詞の部分も何度も読み返したい。
 

②ウェブスター/土屋京子訳『あしながおじさん』(光文社新訳文庫)

ちゃんと湯船に浸かる習慣が身につけばと、防水のKindleを購入した。電子書籍の読み放題がついていたので、大好きな『あしながおじさん』を何度目かの再読。

あらすじは有名だと思うけれども一応書いておくと、孤児院で暮らす17歳のジェルーシャ・アボットは、ある日院長先生に呼び出され、評議委員の一人が彼女の国語の才能に目をとめ、大学に進学させてくれると知らされる。評議委員は身元を明かすことはしないが、援助の代わりに彼女は「あしながおじさん」(帰り際に車のライトに照らされた長い足の影から、彼女が勝手につくったあだ名)に定期的に手紙を書くことを課される。本書は冒頭以外がすべてジェルーシャ改めジュディの手紙である。

フェミニストの友人は結末を理由に「気持ち悪い話」だと言っていたけれど、私はやっぱりこの本が大好きで、というのは、ジュディが節制しながらもいろんなものをお買い物したり、知識を広げたり、かといって時には孤児院出身である自分のことを恥じて、めげてしまうことを、手紙の中で素直に言語化しているからだと思う。大学進学で上京して、いちいちいろんなことにびっくりしていた(今もびっくりし続けている)自分とも重なる部分がある。

今回、解説をきちんと読んでびっくりしたのだが、『あしながおじさん』や『小公女』、『秘密の花園』(全部大好き)は、戦後にGHQの戦略として、民主的な価値を植え付けるためにまとまって日本語に翻訳されたそうだ。「民主主義って何だろう」と改めて考えるために、これらの小説をもう一回読み直してみたい。

それにしても本作の主人公ジュディは、途中で自分は社会主義者だと宣言してフェビアン協会に入会するし、一番の親友はセツルメントに入る(続編では孤児院の院長になる)。それがGHQの民主主義布教リストの中にあったという意味も、考えてみたいと思う。

(山口)
 

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