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【寄稿】点が線になるまで、線が面になるまで/和田拓海 - 「保守的な空気を変えていく 各地で起こる抵抗の実践」(仕事文脈vol.23)

保守的な空気を変えていく 各地で起こる抵抗の実践
ジェンダーギャップ指数ランキングが過去最低となり、伝統的な家族観はかたくなに維持され、弱い立場に置かれている人を「自己責任」の言葉で追い込んでいく。保守的な価値観が習慣となって社会を覆う中、自分の周りから変えていこうとする人たちがいる。性教育、セーファースペース、社会的マイノリティの権利と可視化、困窮者支援のシェルター、市民と行政をつなぐ……不可視化されている人の側に立ち、自分の街を、誰もが生きやすい場所にするために問題提起をする、6組6通りの実践。

①点が線になるまで、線が面になるまで/和田拓海

2023年から岐阜市で「本屋メガホン」という新刊書店を始めた。セクシャルマイノリティや障害者、日本に住む外国籍の人、フェミニズムに関する本など社会的マイノリティについて書かれた本をメインに取り扱い、本屋がメガホンとなって、いないことにされてきた彼らの「小さな声を大きく届ける」ことをコンセプトとしている。東京には、フェミニズム専門書店「エトセトラブックス BOOKSHOP」や、アジア各地のクィアなZINEを取り扱う「loneliness books」があるが、地方でそういったテーマの本を専門にした本屋はまだ少ない。岐阜で小さいながらも自力で本屋を始めてみて、地方にこそこういう場所が必要だということを日々実感している。特に問題意識として感じている、都市と地方の情報格差について今回は考えてみたい。

例えば、雑誌『IWAKAN』(Creative Studio REING 発行/2020年 創刊)を岐阜県で取り扱ったのは当店が初めてで、つまりこれまではその本を手にとって購入するには、わざわざ名古屋まで行く必要があったということになる。

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