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通勤ーあたらしい無職 猫も乗ります編/丹野未雪(仕事文脈vol.21)

 東京西部の郊外から1時間かけて通勤することになった。月曜から金曜の週5日、朝8時台の電車に乗り都心を目指す。退勤は、早ければ夜18時30台にタイムカードに打刻をして帰路につく。「編集の仕事なのに?」と驚かれるが、会社の考え(というか仕事のやり方)はコロナ禍によって変わることはないようだ。「うちではそうやっているから」。ともあれ、空き店舗や空きテナントが目立つ都心部へと、通勤ラッシュに揉まれて通う日々が始まった。百年に一度といわれる疫病があったところで、東京の通勤ラッシュは健在だった。

 通勤には最適解がある。住まいから職場までの最短最安距離をとればよいわけではない。「うちの職場、会社から同心円状の距離で測った最安の通勤ルートでしか交通費出さんのよ。あたしそれやと20分歩いた駅使わなならん。会社着くまで40分以上かかる。なんぼ遠回りさせんねや」。徒歩5分の最寄り駅を利用すれば20分で到着できるのに、会社の示す最安ルートから外れたため、友だちは自腹で差額を出し最短距離を通勤している。

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