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【対談】小沼理×浪花朱音 “ノー資格者”として働く/後編(仕事文脈 vol.21)

資格は関係ない、でもスキルは必要

浪花 「専門分野は何ですか?」ってよく聞かれるんですよ。どう答えますか? 案件内容が広いじゃないですか。

小沼 結構聞かれますね。自分が実際に仕事の数が多くて好きなのは、本の著者インタビュー。ただ専門分野とまでは言えない気がするし、そのクライアントの案件と本の著者インタビューが全く関係しないことも(笑)。期待されてる回答ってこうじゃないんだろうなと思いつつ、当然話も弾まないのでそこで終わる、みたいな。

浪花 テクノロジー系や医療系など、専門性の高い取材もありますか?

小沼 たまにありますね。編集者と一緒に取材に行って、その人がある程度サポートをしてくれる場合が主です。全部一人でやってください、みたいなのはちょっと……。自分が貢献できると思わないから。ライターだと「専門性があると強い」ってことはすごく言われますよね。

浪花 それと資格が結びついてる気がします。「日本酒検定何級」や「京都検定何級」とか持つライターもいますよね。私は、生かせる資格も専門性も持ってないから、クライアントによっては扱いづらいだろうなと思います。

―― どういう仕事のクライアントからそう感じますか?

浪花 よく感じるのが地元の印刷会社です。印刷物が減ってきた中、ここ数年製作にも力を入れている会社で。時々依頼してくださるんですが、社内に編集者がいないから「専門性の高い編集者が同行する」ってことがないんです。ある意味ライターにかかっているだろうし、だからより専門性を重視するんだと思います。

小沼 編集不在ってことですよね。

浪花 あと、どの会社でもありえることだと思うんですが、経費を考えると、最初に編集が業務として潰されて、次にライターが潰される(笑)。「編集的立場は誰でもできる!」って思われているし、言葉を書くことも誰しもができるから「ライター分の経費も削れるぞ!」みたいな。

小沼 それはよくあると思います。「書くって誰でもできるじゃん」って思ってる人、本当に結構いるので(笑)。

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