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8/8〜8/10の日記

8月8日(月)
出勤すると、宮川さんが注文のあった書籍を机の上に並べておいてくれていたので、私は納品書などを作成して、出勤してきた葛原さんに梱包・出荷してもらう。タバブックスnet storeでの個人のお客様からのご注文分も合わせて発送した。SNSでタバブックスの夏季休暇について告知。エージェントさんからご紹介のあった書籍を検討のために読む。

8月9日(火)
朝、いつものようにAmazonからの注文数などをリストに転記する。宮川さんから、gasi editorial第二弾ZINE『フェミサイドは、ある』の宣伝文ができたと聞き、書店さんへご案内メールを送る準備をした。

11時から「雑談本」について、編者の辻本力さんと宮川さんとオンラインでミーティング。書籍についてのイメージがグッと具体的になり、原稿完成を楽しみに思う。ミーティング後に、話した内容について簡単なメモを作成。
午後は『フェミサイドは、ある』のご案内メールを書店さん宛に送信して、さっそく来たご注文をリストにまとめる。椋本さんがメールマガジンの送信準備をしてくれた。

8月10日(水)
『フェミサイドは、ある』の事前注文がどんどん入るので、メールの返信や準備に追われた。その合間に、メールマガジンに追加の記事を入れたり本文やリンクのチェックをしたりして、夕方に送信した(以下のリンクから全文をお読みいただけます)。

退勤前に、水回りを含めて念入りに事務所を掃除し、ごみをまとめて捨てる。スッキリ!



今週読んだ本

北原みのり『佐藤優対談収録完全版 木嶋佳苗100日裁判傍聴記』(講談社文庫)


たぶん秋葉原事件の元死刑囚の刑執行がきっかけで、「現在、死刑囚は何人いるんだっけ?」と調べると(私は、①冤罪がある場合の不可逆性、②抑止力がない、の2点で死刑制度自体に反対だけど)、現在は106人で、女性は8人だという。思ったより女性の割合が少ないなとWikipediaで事件を一つ一つ見ていくと、小説『BUTTER』のモデルとしても有名な木嶋佳苗死刑囚が、裁判当時は現在の自分と同い年(34歳)だと気付いて興味を持ち、未読だった北原さんの『毒婦。』を読んでみた(文庫化にあたり改題され、上記のようなタイトルに)。

亡くなった方がいる事件である上に、そもそも他人の人生をむやみに面白がるのはよくないけれども、木嶋佳苗さんのパーソナリティが本当に興味深くてページをめくる手が止まらない。出会い系サイトで知り合った高齢だったり女性との交際歴がない男性たちに、最初から、自らの周りでバタバタと人が亡くなっていることをちゃんと明言し、セックスをしようと誘い、必要だからと数百万円を要求する(しかも貯金はしない)。男性たちは、木嶋さんの容姿を馬鹿にしながらも、ローンをしてでも多額のお金を払っていく。検察による追及の中で、木嶋さんのセックスワーカー歴が問題にされたりもするけれども、それはかえってセックスワーカーへの偏見やジェンダー構造のいびつな形での固定を明らかにするものだ。著者の北原さんは、周囲の記者たちの反応を含め、ジェンダーという視点で一貫して記録を残す。

当時は木嶋さんに憧れる30代女性たちがたくさん傍聴に訪れたとも書いてあるが、実のところ現在になっては、木嶋死刑囚には彼女たちや北原さんが投影したような考えはなかったのだろうということも、文庫化にあたって追加された佐藤優さんとの対談の中で触れられている(『毒婦。』が出た後に北原さんが逮捕されたこともあり、自分たちが逮捕されて実際に見聞きしたものから木嶋死刑囚の現在の姿を想像する二人の対談は、これまた必読だ)。それでも木嶋死刑囚という真空を中心にして、ジェンダーの非対称性が明らかになり、それを記録した本書はやはり貴重だと思うのだ。

(山口)

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