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【連載】男には簡単な仕事/ニイマリコ「有象無象のインターネット言論空間と拙者」(仕事文脈vol.22)

 ハンパなバズりとは、一体なんでござろうかーー私の場合は、そこに「剣心の気分」が絡んでいるような気がしている。

 バズった、を初めて体感したのは2015年。ポール・マッカートニーの来日コンサートを観に行ったのだが、ポールは3時間以上ステージに出ずっぱりで歌い続けながら、まったく水を飲まなかった。その驚きを医療関係者でもある父に話したところ「年を取っての急な、特に激しい運動中の水分補給は誤飲のリスクがあるからではないか」説が返ってきた、という旨のツイートをしたときだ。伝説中の伝説アーティストであるポールも人間だし、80歳近いおじいさんなんだよな。おかしみのある仮説だ、誰かに教えたいな。というフワッとした動機だったが、コンサートが終わったその夜というタイミングもあってか、通知はあれよあれよと伸びていく。

ただの与太話が徐々に正解不正解、みたいな議論調(?)になっていくのを目の当たりにすると、発言に責任を負え! と言われているような圧迫感を覚えたので、そっと消した。「せっかくバズってたのになんで消したの?!」と友人に驚かれ、ポールのフンドシでバズってもね……、と答えたのを覚えている。それにカタカナ表記とはいえ本名、どう見ても女性名であるし、今も不穏なリプライが1つでもついて、怖いなと思えばすぐに消す。ただ、確かにめったにないことだし、この先もしまたバズることがあれば腹をくくって経過を観察しようとは思った。それから現在まで8年の月日が流れ、リツイートといいね! の数が、このビビったポールのツイート並み、もしくは超えることが何度かあったが、なんだかいつもハンパだなー! と笑っていたのであった。

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