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10年10人のShit #4「伝え方が悪かったかな、勘違いさせてごめん!」/ニイマリコ(ミュージシャン)(仕事文脈vol.18)

東日本大震災から10年が経ち、終わりの見通せないコロナ禍にある2021年。「復興の象徴」とうたわれた東京五輪もトラブル続きで、もはや誰のために開催するのかわからない。この間にも広がっていく、分断や格差、政治不信。そして「Shit」な思いが積み上がっていく。
この特集では、この10年に感じたShitについて、10人の人たちに書いてもらった。その人が直面している困難や葛藤を伝えるもの、不満や怒りを口にしていいと気づかせてくれるもの。さまざまな立場から綴られた文章は、私たち自身のShitを呼び起こしてくれるはずだ。


#4 「伝え方が悪かったかな、勘違いさせてごめん!」/ニイマリコ(ミュージシャン)


 コロナ禍の中で〝文化的な場所〟……劇場や映画館、そしてライブハウスなどの多くの場所で、働いている、利用する、発表する人々が声を上げている。声を上げる、と言っても、それを確認するのは主にSNSのタイムラインで、である。私はミュージシャンの端くれであるが、音楽以外の現場のこともより気にするようになった。

 コロナがあってもなくても、実は結構ギリギリで運営しているのがライブハウスの常だ。2020年の春、夏あたりは特に、通常営業が出来なくなったライブハウスを支えようと様々なドネーション企画が乱立しており、今こそ助け合っていこう! という熱い雰囲気すらあった。私も世話になったり好きな場所には少しでも足しにと、ささやかな額ではあるがこれに参加した。便利な世の中だ。Twitterに流れてきたリンクから飛んで、入金もすぐに出来る。しかし、iphoneの画面をはじきながら「フレキシブルに対応できるインターネットに明るいスタッフが居たり、有名なアーティストを輩出した有名店だったりすれば資金はすぐに集まるけれど、小さな老舗とかはどうするんだろう。何だか〝選別〟している気分になるな。」というモヤモヤが生まれた。

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