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7/11〜7/15の日記

7月11日(月)
好評既刊の注文書をインデザインで作成していただき、文章量などを調節する。
 
7月12日(火)
何卒よろしくお願いいたします』の新刊情報が固まって、本の情報の登録も終わったので、書店さんにメールやFAXで案内を送った。

著者の片方のいがらしさんが宮城県ゆかりの方なので、宮城県内の書店リストを作成。午後、オンラインにて『仕事文脈vol.21』の企画会議。
 
7月13日(水)
メールマガジンの送信日なので内容や表記などを再度確認。TwitterやInstagramでメールマガジンの登録を呼びかけて、時間が経ってから送信した。今回はタバブックスnet storeの顧客リストの中からメールマガジン希望者を追加したので、受信者が1900人ぐらいに増えた。
(メールマガジン登録希望の方は以下のリンクからどうぞ。)

宮城県の書店に『何卒よろしくお願いいたします』の案内書をFAXで送信。
 
7月14日(木)
げじまさんがインデザインで既刊書籍の注文書を見やすいようにレイアウトしなおしてくれた。美的センスがあってすごいなと思う。
23~24日開催のBOOK MARKET 2022に向けて、B本を数えたりグッズを確認したり、持っていく書籍のリストを作成したりした。

 
7月15日(金)
在宅勤務に切り替えて、雑談のテープ起こしや構成案の更新などを行なった。


今週読んだ本


黄色いカバーと可愛いイラストとが気になり、ポルベニールブックストアさんで購入した小説『もうやってらんない』(カイリー・リード著、岩瀬徳子訳、早川書房)。448ページもあるのでおじけづき、ずっと積読をしていたがついに読み始めた。水筒が入っているうえに、この本の重みでカバンがものすごく肩に食い込んだ1週間だった。帯には「英語圏で70万部突破」「ブッカ―賞候補作」とある。

冒頭、25歳の主人公エミラは、友人の誕生日パーティーにいるが、そこに突然ベビーシッターとして働く白人家庭から電話がかかってくる。緊急事態なので(家の窓が割られて破片が散乱していた)、子どもを連れて、少しだけスーパーで時間をつぶしてほしいのだという。自分が着ている露出度の高いパーティー用の服装のことも説明し、了承を得た上で駆けつけたエミラは、子どもと一緒にスーパーの商品棚の間で遊びはじめる。インターネットのこの本の商品ページには記載があるので、このあとの展開をネタバレしてもいいと思うけれど、その穏やかな光景から、子どもを誘拐したのだとスーパーの警備員に問いただされ、別の客からもその疑いを強められ、さらに別の白人男性からは(警備員がした行動に対する証拠のための)ビデオを撮影されるという状況に一気に傾く。それもこれも、彼女がアフリカ系アメリカ人であることが影響しているのだ。

そこからエミラの視点と交互に、裕福な白人女性(ヒラリー・クリントンの選挙ピーアールもしている)である雇い主のアリックスの視点でも物語が進むのだけれど、アフリカ系としてアメリカで生きることが、周囲から向けられる視線やかけられる言葉に、こんなに細かいところにまでに影響を及ぼすものなのかと、その状態の一部を疑似体験したかのような気持ちになった。
人生は続いていくしあまりに端々にまでかかるバイアスが多すぎて、エミラは一回一回それに反応して落ち込んだり抗議したりするのではなく、比較的おとなしくそれを受け止める。内面では自分がアフリカ系だからそういった態度をとられる・言葉をかけられるのだと理解しているのだが、こうした彼女の姿勢も、普段本で読むような、常に周囲の無理解に抗議してたたかい続ける活動家とはまた違うけれど、とてもリアルに感じた。

「何かが違う」状態を疑似体験したかのような気持ちになってもなお、私は、この登場人物たちに関わる事象や言葉のどこにバイアスがあるのか、完全に理解できたわけではないと思う。とはいっても、バイアスがあるんだ、それもこんなに全てにおいて(発言や行為をする側に悪意がない場合や、その人の身近に親しいアフリカ系アメリカ人がいる場合でも)白人とは違う扱いを受けるんだというのが垣間見えて怖かった。

エミラのボーイフレンドのくだりは、いや、そんな偶然ないでしょと、安易な印象がしないでもなかったし、訳者あとがきによれば、この本も賛否両論があるそうだ。

ただ、差別が見えていない状態(そういう状態の人々をケイン樹里安さんは「気にせずにすむ人々」と呼んでいたし、ドイツで反人種差別の講師をしているTupoka Ogetteはその状態を「ハッピーランド」と呼んでいる)にいる私のような人が「あれ、何かがおかしい」と肌で感じるにはうってつけの本だと思う。物語自体はハッピーエンド?で、楽しんで読むことができました。アメリカ文化に詳しい人にぜひ細かいところを解説してもらいたい。

(山口)

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