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小説 フェアな関係・後編/兼桝綾(仕事文脈vol.20)

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 フェアじゃない、という言葉は夫をゆさぶったようだ。その日は気まずいままにお互い早めの就寝となったが、次の日の朝起きたら夫が珍しく私よりも早く起きており、ソファに座り、珈琲用のお湯はすでにケトルに沸かしてあり、あからさまに話し合いのムードがつくられていた。夫は脳内リハーサルでもしていたのか、私が隣に座るなり一息で言った。

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