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母に会いに

妹と待ち合わせをして、施設にいる母に面会に行ってきた。往復7時間。

田舎だからなのか、まだまだ厳しく、15分の面会時間である。

エレベーターホールにテーブルといすが三脚置かれていて、母が座って待っていた。

いつものように、元気そうだ。
「まあ、遠いところをありがとうね。なんにもしてあげられないけど」って。

いつも同じ会話。
新しい出来事はない。
今回は、私の長男がこの春に結婚する事になったと報告をした。
「あら、よかったわね。いくつになるんだっけ?」
「28歳になったよ」
「じゃあ、普通か」
相手の子の職業の話をして、
今度、みんなでくるね。と話した。

フレーバーティーと本を4冊持っていった。
糖尿病で、甘いものが食べられないから、甘い雰囲気の飲み物と、毎回フレーバーティーを持っていく。
「これなんだっけ?」
15分の間に4回聞かれた。
「紅茶だよ。いちごとかりんごのいい匂いのする。おやつの時間に飲んでね」
4回答える。

「他にする事がないから、本はいつも読んでるの。」って言ってくれるので、読むのに負担にならない本を持っていく。
今回は、「続 窓際のトットちゃん」、「写真集 春」、星野富弘の「花の詩画集 足で歩いた頃のこと」、「サザエさんの昭和図鑑」の4冊。

私が小さい頃から学生の間も、母が本を読んでいるのを見た事はない。
テレビを見てるか、なにかを作っているか。
編み物やパッチワークの本はたくさんあったけど、小説やエッセイ等の本を見た事はない。
本を持っていっても、感想があるわけでも、リクエストがあるわけでもない。
私がこれと思うものを選んで、持って行くだけだ。母が本を読んで、見て、少しでも楽しい時間が過ごせれば、それでいい。

あっという間の15分。
変わりないのが、いいのかもしれない。

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