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BABY-CRAYON〜1361〜を推す【mist FESでアイドルについて考えた】

うつつを抜かす:ある物事に心を奪われて、夢中になること。
普段余りいい意味では使われない日本語だ。
「アイドルなんかにうつつを抜かしてないで、ちゃんと勉強しなさい!」なんて叱られたりする。
うつつとは「現」、即ち現実。現実から抜けること自体は悪くない。ちゃんと現実に戻ってこればよいのだ。

6月8日〜9日に名古屋で行われたmist FESに参加した。
mist FESとは名古屋市内の複数のライブハウスで行われる、アイドルのサーキットイベントである。
地元名古屋を中心に活動しているアイドルをはじめ、全国から約300組のアイドルが集結する世界一の大イベントだ。

タイテはこんな感じ。見えないよ😭


はて、これまでJ-POPの有名どころのライブをめぐっていた還暦を過ぎたオジが、なぜまたそんなフェスに参加することになったのか、少し説明せねばなるまい。

少し前から寝る前にtiktokを流して見るようになった。
ある日、おすすめで流れてきた一本の動画。
路上ライブで小田和正の「たしかなこと」を女の子が歌っている。
上手だ。その艶のある声に凄く惹かれた。そして可愛い。
調べてみると歌っていたのは「桜木こと」、「BABY-CREYON~1361~(ベイビークレヨン、以下ベビクレ)」という3人組のアイドルをやっているらしい。
5月26日に池袋で1日3公演のライブをやるらしいこともわかった。
ちょっと行ってみたくなった。
行った。そして、はまった。

話をFESに戻そう。ベビクレの話はまた後で。

今回のFESにはベビクレも東京から参加しており、もちろんそれが目当て。
ベビクレの出演時間の少し前くらいからライブハウス入りするので、その前に出演しているアイドルのステージも観ることになる。
約300組のアイドル達は(おそらく)みんなメジャーデビューはしていない、いわゆる「地下アイドル」と呼ばれる女の子たち。
なので、そのほとんどを私は知らない。
けれども各アイドルには固定ファンがしっかりついているのだ。人数の多寡はあったとしても。
彼らはどうやって彼女らを見つけたのだろう、まずは素直にそこに感動した。

客席には私とご同輩と思しき紳士たちが結構いて、ある意味安心したのだが、 
会社ではおそらく管理職、日ごろ溜まった鬱憤を晴らすかのように率先してコールするその姿には、ちょっと考えさせられてしまった。

若者が一生懸命頑張っている姿には、間違いなく人を感動させる力がある。
甲子園やオリンピックだけではない、アイドルだってそうだ。
笑顔を振りまきながら歌って踊る彼女らがふと見せる素の表情や、首元に光る汗は彼女らの必死さの証だ。
こういうことは実際のライブを観ないとわからない。
私は、「推し」ではないグループのそんなパフォーマンスを観てそれなりに感動したし、応援したい気持ちにもなったりしたが、彼らご同輩はどう感じていたのか。
「アイドルオタ」という仮面を被って、ほんのひととき「うつつを抜かし」ていたのだろうか。
それならばよかったと思う。
映画でもテーマパークでもそうだが、人は非日常に触れるとリフレッシュされて元気が出るものだ。
地下アイドルのライブともなれば、知り合いや部下に合うこともまずない、それこそ普段の自分とは全く違う自分になれる非日常に違いない。
そうやってまた明日から頑張れるのであれば、アイドルのもたらす経済効果は果てしなく大きい。
なんて。

一方でファンたちが行う「コール」。
曲のイントロや間奏でファンが掛ける掛け声のことだが、どのグループもこれがすごく統率されているのだ。
アイドルによって様々で、口上も結構長かったりするのだが、ほぼ一糸乱れずに叫ぶ。
あれには事前の結構な練習が絶対に必要なはず。それを思うと、うつつは大丈夫かと少し心配にもなる。

それにしてもアイドルは重労働だ。
客からお金を取って魅せるプロなのだから当たり前ではあるが、歌やダンスのレッスンはもちろん、結構な数のステージをこなし、客は選べず、私のようなオジもいれば、典型的なオタクっぽい男子も少なくない。
ステージ終了後には特典会と称するファンとの触れ合いの時間にも対応する。
初めて会うファンとも、時間は極めて短いが、会話をしなければならない。もちろんテンプレはあるのだろうけど。
見ず知らずの男性とも嫌な顔一つ見せないで会話をするその姿勢には頭が下がる思いだ。
さらにファンが途切れても決められた時間内はスタンバっておかないといけない。
こう言っては大変失礼だが、私が観たアイドル達は本当に普通に女の子で、町中でもっと可愛い女の子を普通に見かけることができる。
今やアイドルは選ばれる存在ではなく、彼女ら自身が選ぶ生き方なのだろう。

そんな中、ベビクレは別格である。
贔屓目に見ても、ビジュアル、実力とも段違いだと、今回のフェスで思った。

ベビクレは2021年に4人組で結成され、その後メンバーの脱退があって現在は3人で活動している。
その3人のメンバーの経歴が、もう普通の女の子ではない。

メンバー兼プロデューサーである「石綿日向子」は、高校生の時に日本テレビの「マツコ会議」で「可愛すぎるJK」として登場。
その後音大に進学し、在学中にフジテレビの芸能人特技王決定戦TEPPENで、番組史上初めてピアノで満点を出した実力の持ち主。
彼女が残りのメンバーに自ら声をかけてグループが結成された。

「ひなたん」こと石綿日向子


メインボーカルをつとめる「桜木こと」は、私がベビクレにはまるきっかけを作ってくれた。とにかく歌声が天下一品。
そしてモデルもつとめるほどのビジュアル担当でもある。特典会でも、3人の中では
彼女に並ぶファンが圧倒的に多い。

「こっちゃん」こと桜木こと


メンバー兼振付担当の「吉田菜々世」は、EXPG(EXILEが主催するダンススクール、私も台北校に通っていました)出身で、EXILEのバックダンサーとして5大ドーム公演を経験。現在「銀河鉄道999」のダンス動画がバズっている。

「ななちゃん」こと吉田菜々世


これだけでもう他のアイドル達とは明らかに差がついている。
とは言え3人ともそれぞれ挫折を経験しており、それが今の活動の強い原動力となっているようだ。

私はまだベビクレ初心者で全ての曲を聴けているわけではないが、楽曲は明るく、聴いて元気の出るものが多い。
こっちゃんの伸び且つ艶のあるボーカルが本当にいい。サブスクでも聴けるのでぜひ。

パフォーマンスも洗練されているのだが、ただこれは実際に観てもらわないと文章で伝えるのは難しい。
今回他のアイドルのパフォーマンスを観て感じたことは、5人とか6人のグループだと頻繁にフォーメーションチェンジがあるのだが、その移動の際の動きがどうもお遊戯のように感じられて仕方がなかったのだ。
もちろんベビクレも3人でのフォーメーションチェンジはあるのだが、そういった感じは全くなかった。
そこは「夏まゆみ、最後の教え子」の面目躍如か。

彼女らは頻繁に路上ライブ活動も行っている。路上から東京ドームへ、が彼女らの合言葉になっているくらいだ。
路上ライブはステージより彼女らとの距離が近いし、リクエストにも応えてくれるので楽しさがまた違う。
路上なのでもちろんタダだ。(ただし曲制作費はカンパしましょう)
新宿メインで活動している(?)ので、仕事終わりにのぞいてみてはいかが。

私のベビクレの推し活は始まったばかり。太客にはなれそうもないので、できる範囲で楽しくやっていきたい。



それにしても、ライブ中にぴょんぴょん跳ねるやつ、あれなんなんだ??
しかも一番前で。邪魔で仕方がない。
オタク文化尊重したいけど、あれだけはだめだ。

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