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もう「そう」としか見えない

これはずるい…面白過ぎる…
「名画で学ぶ主婦業」というお題に沿って、古今東西の様々な名画に大喜利的なコメントが添えられていて、絵の解説もついている。


これを見てしまったが最後
カラバッジョの『トカゲに噛まれた少年』は
「今それ言う?!」という怒りと衝撃に取り乱す母親に見えてくるし
(本来はもっと耽美な感じのはずなのに…)

モローの白牛に変身したゼウスは
「え?」と白を切っている表情にしか見えない。
(エウロペはエウロペで「あ? (もう一度言ってみ)」と怒っているようにしか見えない…)


美術の楽しみ方、馴染み方はイロイロあっていいし、
多ければ多いほどいいとおもう…けど、
これはちょっとずるい…
もう、次に美術館へ行ったら確実に脳内大喜利が開催されてしまう予感しかしない。
いや、新しい楽しみ方を覚えてしまったなー…
それにしても、ここで初めて名前や作品を意識した作家たちは、今後違う作品を見ても一瞬頭をよぎってしまうに違いない。


コメント自体は元々投稿されたものということなので、その発想力とか一言にまとめる言語力の発露の素晴らしさはもちろんのこと、
やはり名画の人物描写の細かさ、秀逸さにも感じ入るものがある。
名画の名画たる所以ということか。

ティツィアーノの繊細に描かれた喜びに感じ入るマリアの表情は、
「なんだっけ…?」と呆然とする様子の説得力を増すし、
マティスのあんなにシンプルな造形でカラフルに描かれた夫婦も、
緊張感のある≪会話≫の雰囲気を伝えている。
この表情、このポーズ、この構図だからこそ
「明らかにこう言ってる」が効いてくるのだ。
つくづく素晴らしい。

名画で学ぶ主婦業とは、すなわち主婦業で学ぶ名画でもある。
ぜひ他のお題バージョンをみてみたい。
…が、やっぱり、身近さとダイナミズムのバランスが秀逸だから主婦業が最適なのかしら。
(実際、かなり多くの名画に取り入れられているしね)

世界は面白い、楽しいことが溢れていて、
楽しみ方も色々あることを教えてくれる、いい本だ。

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