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とんでもねぇ4位がいたもんだ

スポーツクライミング
森 秋彩選手 4位
(「秋彩」と書いて、「あい」と読む)

新聞などでまとめられたら、以上で片が付いてしまう。
それどころか、ほとんどニュースにも取り上げられないかもしれない。

でも、その4位がどういう結果のものなのか。
わたしは、わたしの家族は、確かに見届けている。


たまたま見かけた「スポーツクライミング」という競技。

スポーツクライミングには、同じ条件で設置された高さ15mの壁を2人の選手が同時に登り速さを競う「スピード」、高さ5メートル以下の壁に設定された複数のボルダー(コース)を、制限時間内にいくつ登れたかを競う「ボルダー」、制限時間内に高さ12m以上の壁のどの地点まで登れるかを競う「リード」の3種目があります。

https://www.joc.or.jp/sports/sport_climbing/

オリンピックの公式サイトにさらっと書いてあったけど!
要するに「壁を登る技術」を競う競技で、当然ながら身長の高い選手がどうやったって圧倒的に有利。

そんななか、選手のなかに細くて小さくてどうみても小学生みたいな子がいるなとおもってみていたら、その子が「リード(12m以上登るやつ)」で圧倒的に強い!
1番小柄なのに、予選、決勝合わせてもトップにタッチしたのは彼女だけ。

スタートしてから、ゴールまで、道がわかっているかのように粛々と登っていく様子は、まるで職人のそれで、なんだかひとりだけやってる競技が違うようにすら見える。(若き壁登り職人)


一方で、「ボルダー(複数の難しいコースを登るやつ)」では、やはりどうしても物理的な苦戦を強いられた…
高い食器棚の上に隠されたクッキー缶を狙う幼児のように奮闘していたけれども、スタートの次にも届かない…
(そりゃ170オーバーの選手もざらな世界では、普通なのかもしれないけれど、もう少しバランスを検討してくれてもよかったのではなかろうかと素人目にはおもえてしまう)


結果、リードでは素晴らしい成果を残し、一度は1位にもなったものの
最終的には4位だったのだ。

でも、何度も言いたい。
予選、決勝合わせてもトップにタッチしたのは彼女だけ
落ちたら即終了の競技。どのメダリストでもかなわなかった。
競技終了後、
会場中からスタンディングオベーションを受けたのも彼女だけ。
あの場にいた誰よりも高く登ったのは彼女だけ。
(今回の壁は15m近くあるらしい。身長の10倍近いわけだ)


誰も表彰しなくても、誰にも称えられなくても
自分のやるべきことを、しっかり丁寧に真剣にやっている人たち。
きっとそういう人たちがいるから、メダルが輝くのだろう。
(なんだか、社会の真理を見せてもらった気がする)


狙っていたトップを取れなかったことに対して悔しさは見せても、
メダルが取れなかったことに対してはあまり気にしてなさそうなクールな様子も職人っぽくて好感がもてる。
(結果なんかより、自分の仕事ができることのほうが大事)


本当にいい仕事を魅せてもらった。
これからも応援していこう。
いつか、大きな舞台でトップを掴む日を信じている。


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