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世界中の“女の子”たちへ

世界の様々な地域の女の子たちの諸事情について、人並みかそれよりも多少…それなりに把握している側だと認識している。
それこそ、簡単に言うのははばかれるくらいにものすご〜〜~〜くしんどいことから、ほどほどにしんどいこと、とても身近なこと、などなど。

この『女の子がいる場所は』という本は、主に「ほどほどにしんどいこと」と「身近なしんどいこと」でできている。
いわゆるフェミニズム的なものとは違う雰囲気で、「性別で決められたりするのはやっぱりちょっと納得できないよ」という女の子たちの短編集だ。

シンプルでおしゃれな絵で、テンポ良く心苦しいことを描く…そのさじ加減が絶妙で、途中で嫌になることもなく、読後の後味も悪くならない。
嫌なやつは出てくるけど、それでも彼女たちはなんとかうまくやってくことを選んでる。
なかなか稀有な本だとおもう。

全く別の、遠い世界の話というわけではなく、名前のある誰かの、地続き感のある物語の数々は、きっと今まであまりそういった問題を意識したことのなかった人にも大なり小なり思うことを与えてくれそうな気がする。
少なくとも、あまり肩ひじ張らずに入門として「こういうことがある」という事実に気が付くきっかけとしては最適に近いのではなかろうか。
(本当にいきなりトラウマになりかねないものもいっぱいあるし…)


ところで、最新の医学では、性別というのは男女にスパッと分かれるものではなく、グラデーションのようにひと繋がりで、100%の男性も100%の女性もほとんどいない…なんて考えが説得力を強めているのだそう。
人体も自然の一部である以上、そう単純に割り切れるものじゃないだろうな…なんておもっていた自分からすると、すんなり納得できる考えだけど、そうであるなら、極論、誰の中にも、ほんの少しでも女の子な部分があるといってもいいのではないかしら。
この本は、そんなあらゆる女の子たちの居場所や力になってくれそうな気配がある。

なるべく多くの、色んな人が読んで、感じて、考えるきっかけになったらいいな。こういう本がもっと当たり前に増えて、最終的には丸っと「昔話」になってしまえたらいいな。

より多くの人が生きやすい世の中になりますように。

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