2人の卒業旅行-それぞれの道の始まり-

雨の中

手を繋ぎ歩く君と僕

言葉は少なめ

何かを噛みしめるように

ゆっくりと歩いている

2人の卒業旅行

君との最後のデート

場所は農溝の滝・亀岩の洞窟

千葉県で有数のパワースポット

ここは君のリクエストだった

あいにく

有名なハート型の光の絶景は見れなかった

君とのドライブは毎回楽しかった

助手席に座る君の手を握りながら

運転するのが好きだった

君が寝そうになると

ギュッと手を強く握る

君は寝てないよーって

こっちを見つめる

その反応が見たくて

意地悪してた

見つめ合った2人

決まって私が先に笑ってしまう

それにつられて君も笑う

何気ないこのやりとりが

幸せだった

そして

最後の目的地

木更津の千葉フォルニアに着いた

時は夕暮れ

午前中に降っていた雨は嘘のようにあがり

雲一つない空が広がっている

水平線に沈む夕陽が

2人をオレンジに染めていた

もうすぐ終わる2人の関係

海を見ながら

「奇跡だね。見れると思わなかった」

「うん。」

「綺麗だね」

肩を寄せ合い座っている2人に

夕陽のスポットライトが当てられているようだった

「楽しかったね」

「ありがとう」

この夕陽が沈めば2人の関係は終わってしまう

最後に強く抱き寄せ口づけを交わした

「幸せでした」

これは

終わりじゃなく、それぞれの道の始まり