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いつかの旅

2006年の7月に数日間、北海道に旅に出たことがあります。
当時は未だ独身で農業はしておらず、某警備会社に勤めていました。年一回のフレックス休暇が7日間ほどいただけました。
何がきっかけだったか忘れましたが、世界遺産の知床と旭山動物園に行きたくて北海道を目指しました。
仕事や用事以外での旅はあまりしたことがなく、旅慣れしてない僕にとっては大きな経験になったもので少しここに綴ってみようと思います。


北海道へはまず新潟まで車で移動、新潟港10:30発の小樽港行きのフェリーに車も乗せて一番安い相部屋のチケットで行きました。当時乗っていた車が日産キューブで、全長が軽自動車並みに短かったので車を積んでもそこそこ安く行けたかな。

小樽へは翌朝の5時過ぎに到着なのでフェリー乗船時間はほぼ一日。相部屋の人は僕含めて6人?だったかな?あれやこれやと語りながら時間をつぶしていました。
相部屋のメンバーの中にアメリカ在住の日本人の方がいて、その方は年に一回日本へ帰り旅をしていて今年は佐渡に行ってから北海道の札幌にあるモエレ沼公園を目指していると語っていました。

モエレ沼公園?全く知らなかったけど、聞くところによるとアメリカではとても有名な日本人デザイナーのイサム・ノグチの作品とのことで日本に行くなら見て来て!と言われるくらい有名な公園と教えてくれました。
札幌まで行くなら車があるので乗せて行きますよ!とお話ししてその方とは札幌までは一緒に旅をすることになりました。

その方は髪を結いていて、サムライのような坂本龍馬(以後 龍馬兄貴)みたいな風貌の方で今まで行った旅の話しをあれやこれやと語ってくれました。ロンリープラネットという本があって旅の本を書く人はどの国の人が多いとか、ギリシャ滞在中は日本や韓国の新婚旅行客が多くて店番を頼まれたとか9.11の時はどうだったとか…どの話もとても興味深くて時間が経つのがあっという間でした。

そんなこんなで朝が来て小樽に到着。
早朝にもかかわらず、小樽港の近くの食堂?がやってい海鮮丼を朝からかきこみました笑

小樽のレンガ倉庫の街並みがとても綺麗で、龍馬兄貴は札幌行ってもまた小樽に戻りたいとのことで日中は札幌でラーメンを食べモエレ沼公園へ行ってからまた小樽へ戻りました。
龍馬兄貴は、あれやこれやと色んな名所を巡るというよりも気に入った土地に長期滞在するのが好きでギリシャの時も同じ街にずっと滞在していたと語ってました。なので小樽がとても気に入ったみたいでこの旅も長く滞在したんだと思う。

車に乗せてくれたお礼にと、夕飯をご馳走したいと言われまして夜は龍馬兄貴の奢りで寿司を食べさせていただきました。
寿司屋さんを探す際に、お寿司屋さんが数件あってどこにしようか?と迷っていると龍馬兄貴はたまたま見かけた花屋の店主に「よく行くお寿司屋さん、美味しいと思うお寿司屋さんを教えてください。観光客がよく行くとかではなくて花屋さんが美味しいと思うお店を」と聞くとあのお店が美味しいよと指差して教えてくれました。
そこのお店に行き美味しいお寿司を沢山ご馳走していただき今日の思い出話し(札幌で駐車場を見失って迷ったことなど…)もしながら楽しく語っているとお寿司屋の大将とも色々語り始めました。

そんな会話の中で龍馬兄貴は「あそこの花屋さんがここのお寿司屋さんが美味しいよ、と教えてくれたのでこのお店に来ました」と伝えると、大将も驚き嬉しかったようで「そんなこと言ってましたか?」と上機嫌になりお寿司を1巻おまけしてくれました。
すごい!旅先で街の雰囲気を良くして歩いているなんて!?何か光がさしてきたような明るい気持ちになり、こういう旅をしたら良いのか!と真似をしたいと思うようになりました。

夕食をご馳走になり、龍馬兄貴とはメールアドレスを交換してそこで別れました。
記念に一緒に写真撮りたいな?とも思ったけど、なんか野暮だな?とも思い写真は撮らず別れるのが粋だ!とか思いながら札幌へ向かいました。

翌日は旭山動物園へ行って園内を満喫し、早速動物園スタッフの方に地元の方が行く美味しいと思うラーメン屋さん教えてください!と聞きました笑
教えてもらった地元のラーメン屋さん(名も無きラーメン屋、という名前のラーメン屋さんだったと思う)に行って、全く同じように真似てみました笑

…旅先での出来事や見てきたことは、まだまだ沢山あってもっと書きたいところですがこの辺で一旦閉じます…

旅の初めに龍馬兄貴に出会えたことで、その後の旅も人生もとても楽しく有意義なものにしてくれていると感じています。
三方良しな生き方を住むわけではない旅先でもできる、旅先で楽しむそんな姿が忘れられずずっと心の中に残っていました。

メールでのやりとりは、2年ほどしてましたが結婚したり引っ越したり実家に入り農家を継いだりでその後は連絡をとっていませんでした。

ただ驚くことに先日、飛騨市の農林課のホームページで僕の事を見つけてくれた龍馬兄貴が人伝に連絡をしてくれて驚きのあまり涙が溢れました。

旅先での思い出話しや、あの後何処に行ったとか語れる日がくるのかと思うととても嬉しい。共にした時間はたった二日ほどでしたが、18年ぶりに会える事がとても楽しみです。

感謝

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