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猫島(愛媛県)へ行ってきた話。

これはあくまでも、私が感じたこと考え。猫写真は沢山あるけど「猫がたくさん居て可愛かった〜!」という内容ではないのでご注意ください。

はじめてnoteなるものに手を出した。

Twitterでの130文字を何スレッドも連ねても伝えきれないことがあると思い、今回はこのような形にしてみた。

きっかけ

愛媛県大洲市にある猫島で有名な青島へ行ってきた。理由は写真を撮るのが好きなので「猫の写真を撮りに行ってみたいなあ。そういえばたくさん猫がいる島があるんだっけ」という単純な動機だった。

訪れるにあたり、島について色々と調べると私は驚くことばかりであった。人口わずか5人の島に200匹以上の猫。
外から見れば「猫の楽園」と思われるかもしれないが実際のところは、猫があまりにも増えすぎたことにより多頭飼育崩壊という実情、観光客から餌をもらい損ねやせ細ったり怪我をした猫がいたり、生まれてすぐの子猫が食い殺されたりと悲しい出来事がたくさんおきていたそうだ。
そこで2018年に行われたのが、島の猫を一斉にすべて捕獲し去勢手術をして再び地域へ返し、ボランティアや地域住民の手によって世話をする「一斉TNR」だ。そして去勢された猫の耳はカットされ、まるで桜の花びらのような形をして「さくらねこ」と呼ばれるようになる。
その結果、島には子猫はいなくなり、猫の性格も穏やかになったり、怪我をする猫も減ったそうだ。


いよいよ

さて、いよいよ上陸当日。本土の伊予長浜と島をつなぐ連絡船は一日二便、しかも島の周りは波が荒く、特に冬のこの時期は欠航が数日続くこともある。実際、私は朝8時の便に乗るべく早朝から並んでいたが残念ながら一便は欠航、その後午後からの二便に乗ることができた。実に数日ぶりの運行になったそうだ。

定員34名の船は平日にも関わらず私たちをはじめとする島外の者たちて瞬く間に定員ギリギリになった。そのうち8割以上は海外からの人たちだった。この島はニュースやインターネットなどを通じて世界的に有名なのだ。

揺られること約40分、船は青島に到着。到着するなり大勢の猫たちが桟橋に飛び出してきた。見渡す限り猫、猫、猫、観光客の人たちは思い思いにスマホやカメラを向けてシャッターを押していた。帰りの船が出るまで約70分、みんな必死だ。もちろん私もだが。

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そんな中、連絡船のおじさんが島民のおばあさんに大きな荷物を渡し、ポストから郵便物を取り出していた。店も自販機も自転車も車もない、この島では連絡船が頼りの綱なのだ。

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島は東京ドームほどの大きさだが島の大半は山地であり、人家はわずかな平地や急斜面に立ち並んでいる。1940年代には900人近くいた人口は衰退の一途を辿り、小中学校も廃校になり今ではわずか3世帯5人の高齢者の方しか住んでいない。

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実際、島内を少し歩いてみたが殆どが廃屋であった。山の方へ歩けば学校跡や灯台があるそうだが、今回は時間の関係で断念した。

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島内での餌やりは基本的には禁止、でも一応「ここでならOK」という場所が用意されている。観光客たちが餌を差し出すと大勢の猫たちが一斉に駆け寄ってくる。

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類に漏れず、私も僅かながら猫用の煮干しを用意したが開封音を聞くや否や一斉に猫たちが私を見上げ、今か今かと待ちわびていた。

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猫も千差万別でまるまると太った猫もいれば、なかなか餌にありつけずほっそりとした猫、小さな体の猫、怯えてなかなか姿を現さない猫もいる。私はなるべくその子たちに餌が行き渡るよう少し離れた場所でその子たちの目の前に餌を差し出した。結果、どこからか大きな力強い猫が駆け付けあっという間にかっさらって行くことも多々…現実はとても厳しい。

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猫たちのお母さん

餌やり場から少し離れたところではこの島の住民で猫たちの世話をされている方がいた。その方のプライバシーに配慮(青島は観光地ではなくそこに住む人たちの生活の場であり配慮を行うのは当然だ)し、写真を掲載しないがその方の自宅の周りには常に数十匹の猫たちが居た。その方は一匹一匹の猫たちの名前を呼びながらコミュニケーションをとり、また猫たちも愛くるしい仕草で応えていた。その方が玄関に座るとこぞって猫たちは膝の上に乗ろうとする。猫たちにとってその方はお母さんなのだ。

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「ドキンちゃん(人気のある三毛猫)のお母さんはこの猫で、ドキンちゃんの子はこの猫なんだよ」とその方は猫たちや島のことなどを色々と教えてくれた。

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楽園でも天国でもない

ふと足元に目をやると右目の無い猫がいた。私は「この猫は喧嘩か鳥に襲われて片目が無いんですか?」と尋ねた。するとその方は「ううん、そうじゃなくて生まれつきないの。人間も猫も血が濃すぎると障害が出やすくなるでしょ。こんな猫は他にもいるよ」と教えてくれた。

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周囲を海に閉ざされた島では他の地域の猫との交流がなく近親交配が進んでしまう。これは島だけでなく室内で何頭も飼っている場合でも起こりうることだそうだ。結果として遺伝による奇形や奇病などに見舞われる猫が増えてしまうのだ。
そういえば、島内でもこの猫以外にやけに手足が細くひょろひょろとした猫を何匹か見かけた。
冒頭に記した一斉TNRはこうした近親交配により障害のある猫が生まれることを防ぐ目的もあるそうだ。

帰りの連絡船の出発時刻が近づいてきた。私はその方にお礼をして、一路桟橋へと向かった。

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ここでの時間を通じて私が感じたのは、猫島は決して楽園でも天国でも夢の国でもおとぎの国でもないということだ。
人間も猫も必ず年をとる。人口わずか5人で全員が高齢者のこの島。そう遠くない未来、この島で世話をしてくれる人や人自体が居なくなる日が必ずくる。その時、この猫たちの運命は想像に難くない。

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できることから

帰りの船で遠ざかる島を眺めながらいろいろと考えた…が、私の頭では何も解決策は思いつかなかった。しかし、そこで思考停止をするのではなく、何か行動を起こすことが大事なのではないかと思った。
この行動が正しいのか、適切なのかはわからない。でも、できることからひとつずつコツコツとやっていく、もし間違っていたらそこで軌道修正すればいいんだよ。

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と、いうわけでまずは手持ちのTポイントを全部、どうぶつ基金に募金してみた。これから定期的にやっていきたいと思う。

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今回の旅を通じて、私はすっかりと青島に魅了されてしまった。それはただ猫が可愛いといった感情だけでなく、この島と人と猫たちの末を見守っていきたいと思ったからだ。
仕事柄なかなかまとまった休みが取れない身ではあるが、なんとか次回の都合をつけてまた青島に足を運びたいし、支援もしていきたい。

また会いに行くからね。

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