検査・感染状況・実効再生産数の県別比較(2022/8/7)

一時は指数関数的な増加を示していた陽性確認数ですが、最近は少し頭打ちです。しかしこれまでにもあったとおり、検査が追い付いていないから陽性確認できていないのではないか。そんな疑問があるため、検査数、陽性確認数などのグラフをアップデートしてみました。さらに今回は新たに実行再生産数と陽性率の関係を確認してみました。

まとめ:陽性者数が上げ止まったとはまだ言えない
・実行再生産数減少中の県が増え、1や1を下回る水準になってきているが、陽性率が高いため、実際に減少に転じているとは言えない(わからない)。
・むしろ検査が充実している県の方が実行再生産数が下がっていない。
・最初に実行再生産数が1を下回った島根県も、再び微増状態。

今回もデータソースは東洋経済のページで、これを加工して使いました。3つセットになった47グラフは「検査・感染状況・実効再生産数の県別比較(2022/7/27)」に同じ。


1 北海道

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2 青森県

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3 岩手県

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4 宮城県

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5 秋田県

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6 山形県

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7 福島県

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8 茨城県

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9 栃木県

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10 群馬県

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11 埼玉県

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12 千葉県

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13 東京都

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14 神奈川県

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15 新潟県

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16 富山県

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17 石川県

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18 福井県

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19 山梨県

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20 長野県

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21 岐阜県

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22 静岡県

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23 愛知県

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24 三重県

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25 滋賀県

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26 京都府

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27 大阪府

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28 兵庫県

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29 奈良県

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30 和歌山県

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31 鳥取県

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32 島根県

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33 岡山県

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34 広島県

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35 山口県

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36 徳島県

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37 香川県

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38 愛媛県

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39 高知県

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40 福岡県

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41 佐賀県

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42 長崎県

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43 熊本県

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44 大分県

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45 宮崎県

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46 鹿児島県

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47 沖縄県

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このデータからわかることは、陽性者数が頭打ちになっているのは検査が追い付いていないからではないか。つまり陽性率が上がっているからではないか、と考えられます。そこで、直近の実行再生産数と陽性率(実際には最近1週間の陽性確認数÷検査数)の県別散布図を作ってみました。

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予想通り、陽性率が高い県は実行再生産数が低い傾向があることがわかります。陽性率が高い状態である限り、陽性者の見落としが起きていることは明らかです。つまりその結果として実行再生産数が下がっていると考えられます。こうしてみると、実行再生産数が1をわずかに切っている神奈川と富山は、陽性率がそれぞれ54%、89%ととても高いのであまり信頼できないと言えそうです。相変わらず陽性率が一番低いのが鳥取県ですが、それでも23.3%まで上昇してしまいました。それでもまだ、他県より値に信頼性があるのではないでしょうか。


参考までに、第6波が始まったころの散布図はこちら。

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検査が足りていれば、全体的に陽性率は低く、陽性率と実行再生産数は正の相関になります。(本来はその後、検査を増やして実行再生産数が大きくならないようにすることが必要)


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このグラフは、去年、ピークを超えたころ2021/8/31 を基準としたグラフです。ばらつきはありますが、今のような負の相関はほぼ見られません。そしていかに今の陽性率が高いかもよくわかります。


実際には「無料PCR検査」などの数がカウントされていない可能性はありますが、これまでPCR検査を増やそうとしなかったツケが来てしまった感じです。


全数把握すべき理由:今、全数把握は負担が云々言われていますが、
・陽性になった人のケアには陽性者全員を迅速に把握することが必要
・迅速な陽性者把握ができれば、ごく初期に治療をして重症化を防げる
・感染の連鎖を断ち切るには、陽性になったことを本人が知る必要がある
・陽性者数の推移を常に把握することで将来を予測し、備えることができる

重症化人数などを抑えるには:感染者数が増えれば、たとえ重症化率などが下がっても、数としては重症者数が増える場合があります。
  重症化人数 = 重症化率 x 感染者数
単純な掛け算ですが、心からわかっている知事は、47都道府県の中でもそれほど多くないと感じます。

次の変異で今より弱毒化している補償はない:勘違いする人も多いのですが、長期的に弱毒化するだろうという予測が正しいとしても、次の変異が弱毒化する補償は一切ありません。弱毒化することを前提にして対策してはダメです。念のための厳しい対策が必要で、安全なら対策を緩めればよろしい。


ということで、検査が絞られているために、現状が把握できていない。だから対策もできない、という残念な状況であることがわかりました。