「わかっているつもり」


未知の事柄に対応する必要が起きた時、どのように考えますか?

 (A) とにかく前に進め、何も問題はないかも知れないのだから。
 (B) 情報を集めて判断しよう、リスクがあるかも知れないのだから。

判断の先にあるかも知れないリスクを軽視する(A)は無鉄砲。危険な場合もあるでしょう。従って多くの人が(B)の行動をとる、取っていると考えると思います。

しかし本当に(B)、つまり必要な情報を集めているでしょうか?現状を客観的に把握できているでしょうか?「わかっていないこと」に対峙しているのだという意識を持っているでしょうか?

わかっているつもり、知っているつもり、が一番厄介なのではないでしょうか。

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統計の重要な考え方に、標本調査とその結果を示す区間推定があります。標本調査の最も身近な例は、視聴率や支持率調査など一定数の標本を調査してその中に含まれる特定のグループ(視聴した、支持しているなど)の率を推定するものでしょう。多くの場合、日本では結果は1つの数字、点推定としてのみ公表されます。しかし本来結果は区間推定として得られるもの。幅のある推定です。推定される値は、この区間に確率何%で含まれている、となります。

つまり、世論調査で得られた数値も推定値で、本当の値はわからないのです。例えば視聴率が1%上がった、下がったと一喜一憂する人がいます。しかし統計的に1%の差は、(一般的な標本サイズの場合)上がったか下がったかわからない、と解釈されます。

私たちがわかっているつもり、わかったと思っている事柄であっても、本当はわかっていないことは、いろいろです。そして将来のこともわかりませんね。

わからないことを意識すること。自分は勝手な思い込みをしてるかも知れないと考えること。学びはそのきっかけを与えてくれると信じています。