2次情報に注意(追記)

藤田医科大学から「ファイザー社の新型コロナワクチンで、接種約3ヶ月後に抗体価が低下することを発表しました」というプレスリリースが出ました。そこで2次情報との違いなどを早速内容を確認してみました。

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以下の4点はプレスリリースの内容に合致していました。
・抗体の量は4回調べた((1) 接種前、(2) 1回目の14日後、(3) 2回目の14日後、(4) 1回目の70日後)
・(3) の時の抗体はその前に比べて多くなっていた(別発表あり)
・(4) では抗体の量が(3) の平均で1/4になっていた

そしてプレスリリースからわかるのは、209人のIgG抗体を4回測定し、年代、男女別などを分析、その結果を発表した、ということです。プレスリリースとしてはそこまで。

つまり記事になっている部分の一部は、記者会見時の質疑から記者が解釈したことを書いているのでしょう。

問題は、NHK東海のタイトル「3か月後抗体量低下も発症予防効果持続」です。少なくともプレスリリースには入っていません。むしろ、「抗体価の低下がどの程度ワクチンの発症予防効果、重症化予防効果などの低下を示しているかは今後も研究が必要です。」と書かれています。つまり藤田医科大学は、この点はわからない、研究が必要だ、という主張しているのです。


情報が私たちの所に伝わる時には、様々なフィルターが入ってしまいます。記者会見を記事にする場合は、その記者がどこまで正しく理解できているか、に依存しています。同時に、私たちは自分が信じたいもの(だけ)を信じる、自分の解釈に合うように理解する、という特徴もあるために、正確に理解することがますます難しくなっています。

いずれにしてもデータ・情報を正解に理解するためには、(何度か繰り返していますが)
 (1) データの成り立ち、どのように集められたものなのか
 (2) データの解釈、誰がどのように解釈したのか
 (3) 結果がどのように伝わって来たのか(一次情報か否か)
というポイントを確認することが有効です。今回の例は(3) の部分の注意の具体例であり、そして「今はまだわからない」と言えることの重要性を再認識させてくれたと思います。