期日前投票の投票率 -0.66%に意味はあるか

今日は衆議院議員選挙。選挙の時にはデータの重要性を感じますね。ゼロうちと言われる20時になってすぐに当選確実が出るのは、事前の調査や分析があってこそです。

今日は選挙の投票率に関して考えてみます。

期日前投票、2058万人 前回より0.66ポイント減 過去2番目
2021年10月31日 17:24 (2021年10月31日 18:54更新)
総務省は31日、衆院選の期日前投票者数が全国で2058万4857人だったと発表した。過去最多だった前回2017年の2137万9977人を80万人ほど下回る過去2番目の水準だった。
有権者全体に占める期日前に投票した人の割合は前回より0.66ポイント低い19.49%だった。36の都道府県で17年衆院選に比べて期日前投票者数が減った。減少率が最も高かったのは三重県で21.6%減少した。山形県が最も増加率が高かった。

今回の期日前投票の投票率は19.49%で、前回2017年と比べて0.66%マイナス、とのこと。数で言えば80万人減ですが、この差に意味はあるでしょうか?


得られた数値は、統計分野では全数調査の結果と考えることができます。有権者全員の”調査”に相当するからです。標本調査ではありません。このため、標準偏差や√nが出て来る標準誤差はありません。標本を選ぶ時の偏りによる誤差も生じません。つまり標本誤差は発生しません。

残るは非標本誤差と呼ばれるものです。

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しかしここにあるように、非標本誤差は、数値的な評価ができません。例えば選挙期間が短かったことは減少の原因となった可能性があります。少なくとも選挙期間が短かったために海外からの投票ができなかった、という話もありました。でも、残念ながら定量化できないのです。

今回の期日前投票の投票率は、0.66%の減少でした。この0.66%という値に大きな意味を見出すことに、意味がないと思います。それでも分析したい場合は、都道府県別、選挙区別など、もう少し細かな地域での数値を比較し、分析する必要があるでしょう。


数字は大事。しかし正確であることがすべてではない。アバウトな捉え方が必要な時もありますね、という話題でした。