抗体カクテル療法の対象は、ワクチン未接種者とワクチン効果が不十分な人

1か月前、「カクテル抗体療法は、ワクチン未接種者限定?!」を書きました。新しい情報があったので紹介します。結論は、やはりワクチン未接種者が対象、ワクチン効果が不十分な人も可、のようです。

11月に改訂された医薬品の情報です。以前の探し方が悪く、差ははっきりしない所がありますが、現状は大体把握できます。

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気になった対象者について。

・SARS-CoV-2による感染症患者の同居家族又は共同生活者等の濃厚接触者、又は無症状のSARS-CoV-2病原体保有者[17.1.2 参照]
・原則として、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する者
・SARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種歴を有しない者、又はワクチン接種歴を有する場合でその効果が不十分と考えられる者

という部分です。

濃厚接書者はつまり感染していなくても投与できるということですね。「SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与すること。」という記載とは矛盾しているようで、とても気になります。そしてまだ治験中のようです。

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そしてワクチンを接種し、効果が十分ある人は対象外。効果が十分・不十分はどのように決めるのでしょうか。(接種後に感染したから効果が不十分だった、と言えば接種できる?)


あとは効果についての但し書き「18.2 変異株に対する効果」

本剤の中和活性が低いSARS-CoV-2変異株に対しては本剤の有効性が期待できない可能性がある

ということは、別の変異株が出て来る前に急いで使わないと効果がなくなるかも知れないと言っているように見えます。(個人の感想です)


そもそもこの薬剤の一般名称は

 カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)

です。遺伝子組み換え?

治療薬とは言え、体に入れるものですから、やはり気になってしまいました。


効果はありそうだが、そもそも対象者がかなり限定され、「症状が発現してから速やかに投与すること」が求められている薬です。治験が行われたのはここまで。

これに対し今回、点滴から皮下注射も可能とされました。
最初の治験の対象外にも広げたい、という思惑が読み取れる気がしています。

必ず治験を行うこと。販売後の第IV相試験(製造販売後臨床試験)はどうなっているのか。データに基づき判断をするためには必須のことだと思います。

医療関係素人なのでわからないことだらけですが、いろいろなことがないがしろになっていないか、心配でなりません。