カクテル抗体療法は、ワクチン未接種者限定?!

在宅の新型コロナ感染者には「ワクチンを2回接種した人には使用できない」という記事が週刊文集に出ていました。この情報、聞いたことがなかったので調べてみました。

結論は、やはりよくわからない、です。しかしわかったことがいくつかあります。はっきりしたのは、以下の(1) から、治験はワクチン未接種者に対して行われた、ということ。そしてその他のサイトからの推測ですが、ワクチン接種者への適応は在宅や療養施設では行わない、という指示が少なくとも一部地域では行われたようです。さらに推測ですが、病院ならばOKらしいです。

でもとにかく文章がほとんど見つからない。検索が下手なのかも知れませんが、少なくともわかりやすい文章は見つけられませんでした。(見つけた参考サイトは最後に記載)


さて、この情報から読み取れることを考えてみます。重要なのは治験。どんな条件で治験を行ったのか、どんな効果があったのかを確認することです。当然、(後ろ向きではない)前向きの調査(RCT:ランダム化比較実験)が行われたはずで、それによって承認されたと考えられます。その治験で対象とされたのは、今回はワクチン未接種者で感染した人。この集団をランダムに2つに分け、抗体カクテル療法を使う、使わないだけの違いを比較したはずです。(さらに発症何日後が有効かなども調査されているはず。その他この治験に関する詳細は未確認)

厳密に行われる治験を経ることで、(たとえメカニズム詳細は不明でも)薬の効果があると認められることになります。

そして重要なのは、治験での条件です。今回はワクチン未接種者が対象でした。勿論、ワクチン接種者でも効果がある可能性は否定できませんが、治験を行っていないので、結論はわからない、です。特に副作用に関しては、調査が必要だと思われます。

そして想像ですが、治験がワクチン未接種者が対象だったので、医師の目が届きにくい宿泊施設・在宅での療養者において対象をワクチン未接種者に限定したのではないか、医療機関なら目が届くのでワクチン接種者も良しとしたのではないか。(想像です)


以下参照したサイト:

(1)  令 和 3 年 7 月 20 日 付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の通達では、『製造販売業者の情報提供資材においては、本剤と新型コロナワクチンとの相互作用に関するデータは得られていないとされています』という記載があります。

(2) 令和3 年8 月16 日福岡県新型コロナウイルス感染症対策本部 が出した「宿泊療養施設における中和抗体薬の投与(いわゆる抗体カクテル療法)について」では「①投与日が発症日から7 日以内でワクチン接種歴がない」を条件にしています。

(3) 福岡県透析医会では『一部地域医師会配布文書で抗体カクテル療法の適応基準に「ワクチン未接種」の項目があると連絡がありました。』『ワクチン接種者への有効性は立証されていません』と書かれていました。(但し文章全体では少々論理的におかしな部分があります。恐らく『「治験では「ワクチン未接種」患者は除外されており」』ではなく、「ワクチン接種」の間違いと思われます。)

(4) 熊本日日新聞記事「抗体カクテル療法、重症化0・7%のみ 熊本県「新型コロナ治療に有効」には「ワクチン接種を受けている場合は対象外となる。」という記載があります。

(5) 神奈川県における中和抗体療法の取組みではワクチン接種歴が関係するという『入院優先度判断スコアやワクチン接種歴を踏まえて』という記載があります。