肺炎球菌ワクチンについて少し調べてみた(1)

先日、週刊文春を見ていたら、肺炎球菌ワクチン接種を推奨する見開きの大きな広告が目についた。何が書いてあるのかを確認していくと、疑問だらけになったので、少し調べてみた。但しこの分野について、私は全く詳しくない。このため深追いはできていないが、接種を受ける側なら何を知るべきか、という立場で考えてみたい。知るべきは、(0) 日本の年齢階層別・死因別死亡者数、(1) 肺炎球菌とは何か、(2) どんなワクチンなのか、(3) 推奨・広報はどうなっているのかという4点だと思う。今回は、広告で強調している数字の根拠を探し、関連した年齢階層別・死因別死亡者数をまとめた。((1)~(3)は別途)

(0) 年齢階層別・死因別・死亡者数

(1) 肺炎球菌
肺炎球菌の種類、どう危険なのか

(2) ワクチン
種類、製造者、治験、有効性、副反応、薬害補償

(3) 推奨・広報
推奨者、広報者、費用負担



まず、週刊文春にあったワクチン接種推奨の記事の内容を簡単にまとめておく。MSD株式会社による「特別広告企画/人生100年、健康100年」という広告である。
・「いつまでも元気に過ごすためには65歳からの肺炎要望が重要」
・肺炎による死亡者の97.9%が65歳以上
・上位5病原微生物のトップが肺炎球菌(18/8%)、2位はインフルエンザ(7.6%)
・65歳以上で入院すると、肺炎に気付きにくい。気が付くと認知症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こしていることがある
・65歳以上の対象者にはワクチン接種費用の公的助成がある
・大学教授と厚労省が推奨

広告全体では、「肺炎による死亡者の97.5%が65歳以上」だから対策しよう、というトーンになっている。
しかし、「肺炎による死亡」はそもそもどの位なのか(ガンが高齢者の死亡の第1位ではなかったか)、他の原因は?
さらに肺炎球菌による肺炎は、肺炎全体の2割にも満たない。つまり、元々肺炎球菌のリスクが大きいように見えない。(見えないが、97.9%と言って怖がらせているように見える)
そして何よりワクチンの有効性はどの位なのかの記載が一切ない。

以上がもう少し調べてみようと思った理由である。

なお、この広告内容は、概ね

に書かれていることと同じ。但しこのページにはないグラフも含まれているため、週刊文春の広告では、あたかも根拠を示しているかのように感じてしまう工夫があるようだ。


(0) 年齢階層別・死因別・死亡者数 について

2022年の年齢階層別・死因別の死亡者数は、この9月に公表された。

これをまとめると、以下のようになる。


これを見ると、そもそも死亡する人数の約92%が65歳以上の高齢者であることがわかる。そして確かに肺炎で死亡する人の約98%が高齢者である。

「肺炎による死亡者の97.9%が65歳以上」は何年度の数字なのかわからないが、それほど変な値でないことはわかった。

しかし、そもそも死亡する人の約92%が65歳以上の高齢者である。死亡者数の中の肺炎比率は、年代別にみると以下のとおり。

つまり90代で死亡する人の6%程度が肺炎。さらに、広告の数字が正しいなら、このうち2割の1.2%が肺炎球菌による死亡と推定できる。この1.2%の死亡を減らすためにリスクあるワクチンを接種する?

さらに調べると、肺炎が原因で死亡する人数は減り続けている。

ワクチンの効果を知るには、そもそものリスクを知ることが基本である。


((1)~(3) も調べたい。特に、ワクチンの有効性は、ほとんど数字がない、あってもせいぜい40%程度、5年もたないらしい。マイナスの数字まで見た。さらに日本では治験が行われたかどうかも確認できなかった。)


感想:あまりにもデータがない状態にも関わらず、広報にお金をかけてワクチン接種を推奨をしていると感じた。コロナワクチンでは、コロナによる死亡例が大きく報道されていたし、当初有効性95%などの数字が出ていた。
一方、肺炎球菌については広報でリスクのイメージばかり強調し、実際のリスクも示していない。有効性がはっきりしない点はほとんど報道されていない。

日本人は、数字さえ出せば信じてまうと思われているようでならない。