「これは本当ですか?」コロナワクチンQ&A

今回は、少し前の厚労省コロナワクチンQ&A「新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっているというのは本当ですか。」という厚労省のQ&Aを取り上げます。取り上げる理由は、Q&Aの一覧の中の「これは本当ですか?」という項目の一番上にある、3回目接種で気になる点だからです。今回もいろいろな問題が見えて来ました。

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最初に気が付くのは日付がないこと。日々、新しい情報で古い情報が上書きされている今、日付がないのは致命的。

続いて回答です。

A:「ワクチンを接種した後に亡くなった」ということは、「ワクチンが原因で亡くなった」ということではありません。接種後の死亡事例は報告されていますが、現時点で、新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなったということはありません。

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「ワクチンを接種した後に亡くなった」ということは、「ワクチンが原因で亡くなった」ということではありません。人はワクチンの接種とは関係なく突然命を落とすことがあるため、ワクチン接種後の死亡事例が出た時は、ワクチン接種との因果関係を調査することが大切です。

これはそのとおり。但しその後、因果関係を調査していますか?調査しなければ、何時までたっても、原因不明のままです。そもそも、因果関係が確認できない場合でも、因果関係の可能性まで否定されるわけではありません。無関係(偶然)の可能性も、因果関係である可能性も、両方ある、という意味ですね。
この部分の正確な理解は重要だと思います。正確に理解できていないと、大丈夫だ、死亡が多いと騒ぐのはコロナ脳だ、と思ってしまうかも知れません。逆に怖いかも、と思う人にとっても、正確に反論できないことになるかも知れません。

読み進めましょう。

新型コロナワクチンを含むあらゆるワクチンは、大規模な臨床試験で安全性が確認された後に承認されています。日本で使用されているファイザー社及び武田/モデルナ社のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、いずれも臨床試験において、ワクチン接種者とプラセボ接種者で、重い病気を発症した人や亡くなった人の割合に差がないことが確認されています(※1、※2)。

この参考文献を見ると、

※1:PMDAの審査報告書(ファイザー社のワクチン)
※2:PMDAの審査報告書(武田/モデルナ社のワクチン)

ですが、いずれも2021年、2月と5月の審査結果報告書です。つまり、「多くの方が亡くなっている」という認識が出てきている時期(文書作成は7月以降)であるにも関わらず、接種開始後の検討事項が入っていない資料を元に、亡くなった人の割合に差がない、と主張していることになります。

また、接種が進んでいる米国では、ワクチン接種後の病気の発生率と、接種を行わなかった場合の予想される病気の自然発生率を比較するなどの評価が行われています。これらの調査の結果、米国CDCは2021年6月時点で「死亡事例とmRNAワクチン接種には明らかな因果関係がない」と評価しています(※3)。
※3:CDC. Selected Adverse Events Reported after COVID-19 Vaccination

確かに

COVID-19 vaccines are safe and effective
Anaphylaxis after COVID-19 vaccination is rare

などの記載があります。しかしここは、ワクチン接種の推進している組織です。問題がないという発表が多いのは当然でしょう。

次の部分です。

日本においても、副反応疑い報告制度により、ワクチン接種後の死亡事例が報告されていますが、こうした事例をみたときに、現時点でワクチン接種との因果関係があると判断された事例はありません(※4)。

この資料が問題です。

※4:接種後の死亡事象との因果関係に関する現時点での考え方(第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料より抜粋)

リンク先は、今回もpdfが1ページ。

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審議会で使われた資料の抜粋とのこと。探しに行きましょう。

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会議はこれです。2021年7月21日開催。ではどの資料でしょうか?

(コメントを頂きありがとうございました。当初探し方が不十分で、資料が見つからないと書きましたが、この中に資料はあることを教えて頂きました。このため、流れが変わらない範囲で以下の一部を修正しました。)

資料は、資料1-5-1   副反応疑い報告の状況についての7ページ。8ページを見ると、当時もすでに663件の死亡報告があったことがわかります。

さて、Q&A最後の所はこんな感じ。

それでもなお、決して予断を持つことなく、個別の死亡事例をみたときに「新型コロナワクチンが原因ではないか」、あるいは、症例数などをみたときに「新型コロナワクチンの接種後に特定の病気による死亡が特に増えていないか」など、引き続き、国内外で慎重なモニタリングが行われています。
こうしたことをまとめると、日本において、現時点で、新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなったということはありません。

ここで注目は、現時点でです。この主張は、将来ワクチン接種が原因で死亡者が多く出たとしても、その時はわかっていなかった、と主張できるように書かれています。また、現時点で多くの方が亡くなったを否定していますが、何人なら多くの人なのか。死亡が明らかになったとしても、それは多くない、という逃げ道も用意されているわけです。

どう見ても、責任を追及できない文章になっていると思います。

以上の問題点を列記するとこんな感じ。
・このQ&Aはいつの時点での情報なのか記載なし(2021年7月末~8月頃?)
・なぜ参考文献全体をリンクにしないのか
・なぜ元資料が簡単に見けにくいのか
・なぜ因果関係の調査を徹底せず、不明のままで終わらせるのか
・「現時点で、新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなったということはありません」という主張は、何重にも逃げをうつことができる文章になっている
他にもあるかも知れませんが。。


最後に。
実際にはワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっていることは、統計データを分析すればわかります。モデルナとファイザーでも副作用の頻度が違います。例えば以前、死亡日データを統計的に見る限り死亡が偶然とは言えない、という検定を行いました。詳しくは、ワクチン接種後死亡までの日数が偶然かを検定してみたを確認して頂くとして、4月中旬にはワクチンの関係が示唆され、4月末の発表分のデータで、すでに偶然とは言えないと結論できていました。いくらここで、逃げ道を用意しようが、偶然ではありえないのです。
(今もなお、このようなQ&Aを掲載しているのは、不誠実だと感じます。)


いずれにしても、開示する情報に対する信頼を得るには、絶対に改竄などしない。修正が必要になった場合や新しい情報を得た時は、きちんと説明し、経緯を残す。整合性のある発信をする。基本ではないでしょうか。