コロナ治療薬の破棄について

塩野義のコロナ治療薬ゾコーバも、主要評価項目とした症状改善効果を示せなかったとの報道がありました(2024/5/13)。

  ゾコーバ、主要評価項目とした症状改善効果を示せず

富士フィルムのアビガンに続いてこちらもダメだったわけですね。(アビガンは2020年3月に安倍首相(当時)の鳴り物入りで治験を始めたものの、2022年10月に開発中止発表

医療の詳しい話は理解できませんが、少なくとも統計の仮説検定の意味を知っていれば、「統計学的手法を用いた主要評価項目の検定では、明確な有意差を示すまでには至らなかった。」が何となくでも何が起きて、何ができなかったのか理解できます。

「ラセボ投与群との比較で、COVID-19の15症状の消失までの時間短縮が認められた」とのことなので、ある程度の時間短縮を感じられる状況だったと推定できます。恐らくブラセボ群と投与群で症状消失までの時間を計測したら平均に差が認められたのでしょう。しかし偶然だった言えるレベルの差だった、と理解できます。(「症状喪失までの時間は同じ」という帰無仮説を棄却できず、採択された。)治験の難しさは、誰もが納得できる効果を実証することと聞いています。それを達成できなかったのですね。

さて、

によると、

 メーカー(薬品名)    購入(確保)  残り(24年3月末時点)
 塩野義製薬(ゾコーバ)  計200万人分   約177万人分
 MSD(ラゲブリオ)    160万人分   約78万人分
 ファイザー(パキロビッド) 200万人分   約175万人分

単純計算すると計3千億円超に相当するとのこと。これら以外にも、厚労省HPによれば、抗インフルエンザウイルス薬(アビガン200mg)96,900,000錠の購入も公表されています。

まだ治験が終わっていなかったゾコーバ200万人分の確保だけではありません。同じように治験に失敗したアビガンも242万人分(1錠200mg、投与は1日目は1回1600mgを1日2回、2日目から5日目は1回600mgを1日2回経口投与なので一人合計40錠)が契約されていた・・・これも加えたら、どれだけの税金が使われたのか。


但しこれを「無駄」と言ってしまうと思考停止してしまうようでなりません。勿論税金の無駄使いです。しかし、このお金を受け取った会社がある。その会社にとっては、新薬開発に成功しなくても、トライしていると言うだけで、お金が得られたことになります。事業をまわす資金になったでしょう。製薬会社にとっては、とても美味しい契約だったろうと想像できます。(大阪ワクチンも同じ構造でしょう)

一歩譲って国内メーカーが恩恵を受けただけなら納得する人もいると思います。が、実はファイザー(パキロビッド)も契約したものの1割強しか使われていません。ファイザーのコロナワクチンも廃棄されます。

いったいどれだけのお金が海外に流出していったのでしょうか。