総合的判断でなく、定量的な基準が必要だ

新型コロナ対策で一番必要なのは、定量的データを得ること、そしてそのデータを元にきちんとした基準を元に判断することだと、私は考えています。データを大切にすることは、このための前提。きちんとしたデータがあれば、定量的な基準を作ることができるし、説得力もある判断もできることになります。

これは「総合的判断」の真逆です。「総合的」とはつまり定量的な基準はない、判断する人が勝手に決める、という意味ですね。


今回取り上げるのは、この記事。

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 レベル2から3への移行の目安として「3週間後に必要とされる病床数が確保病床数に到達」などを挙げているが、従来のステージ分類のように明確な数値基準を設けておらず、地域事情に応じ、都道府県に判断を委ねるとしている。これに対し、自治体からは「統一した数値基準を示してほしい」との意見も出ているといい、8日の分科会で議論になりそうだ。

と記載されています。

似た記事が朝日新聞にもあります。

現在の指標は、新規感染者数や医療の逼迫状況(病床使用率)、PCR陽性率など5項目を目安とする。だが、ワクチン接種が広がる中、今後は感染者数が急増しても、重症者や死者は大幅には増えず、医療が逼迫しないような状況も考えられ、都道府県などからも新たな指標を求める声が出ていた。

少しニュアンスが違いますが、感染者数は基準に入れない、重症者数などから総合的に判断しましょう、ということのようです。


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これで良いのでしょうか?あまりにもデータを大事にしていない例と言えるのではないでしょうか?

緊急事態宣言などの発令&解除の判断は、これまでも総合的に判断されてきました。だからこそ、こちらの件がステージが上なのに、発令されない、などの事例がありました。(うがった見方をすると、政府に批判的な知事がいる件は、発令されにくかった印象があります。印象ですが、これはつまり定量的でない判断がされていたから、そう感じさせることになったとも言えます。)



吉田茂の言があります。

「もし日本の統計が正確だったらむちゃな戦争などいたしません。また統計どおりだったら日本の勝ち戦だったはずです。」(wikipediaより)

これは、日本がアメリカを攻撃して始まった戦争中の、統計データの扱いについて述べたものです。大本営発表だけが正しい情報だとされ、疑いを持つことさえできなかった時代。その統計データが正確でなかった、ということ言っている訳ですね。

まさにこの状態を危惧しています。


そして思い出したのが、もう少し前の記事です。

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要するに緊急事態だから法律を改正して、ワクチンを使えるようにする、という話ですね。大阪からのワクチンは治験断念が伝えられたので、この法改正がどうなるか、わかりません。が、その場で必要な判断をしようとしている、という意味で、「総合的判断」の延長事例だと感じました。