加計学園の岡山理科大獣医学部の獣医師試験合格率について
加計学園初の獣医学部卒業生が第75回獣医師試験に臨み、合格率が平均を下回る67.5%だったことがニュースになっていました。少し詳しいニュースでも、受験者数114名、合格者77名。全員新卒なので、新卒者の平均合格率84.4%と比べて低かったという報道になっていました。
しかし、詳細に見ていくと、かなり悲惨な結果だったのでは、ということがわかりました。数字を見る時に注意すべきことを含め、わかったことを紹介します。
(1)入学者数から考えると合格はその52%
獣医学部の定員は140名です。2018年、入試倍率はかなり高かったと話題になっていました。そして入学したのは147名。しかし獣医師試験の受験者は114名。つまり33名は受験していない、ということです。留年したのか、退学したのか。調べてみましたが見つかりませんでした。わかったのは、2年後、2018年と2019年を合わせた在学者数が、すでに入学者合計よりすでに9名少なくなっていたということです。(2020年5月の在籍者数461,入学者は147+172+151=470。)
大学合格 ⊇ 卒業 ⊇ 獣医師試験受験 ⊇ 合格
147 ? 114 77
受験者数に対する合格者数も確かに少ないのですが、そもそも減った33名は何処に?
(2)他大学との比較:新卒不合格者の1/4近くが加計学園
今回最低の合格率になったのは、岡山理科大獣医学部ではありません。実は60.9%となった東大でした(定員30受験23合格14)。しかし驚きません。医師の国家試験でも東大は案外低いことは良く知られています。これは、東大に行く人は、本気で医師になるより研究者になるなどの道に進むからだと言われています。獣医師試験でも同じなのでしょう。
ということで東大を除くと、加計学園獣医学部が最低の合格率でした。東大と加計学園を除くと、大学別合格率は全大学で70%どころか、80%を超えています。最高は鳥取大学の97.5%(34/35)でした。
ここで注意しておきたいのは、合格率が高いから良い、という訳でもないことです。みかけの合格率は、国家試験受験者数を絞ることで実現できます。合格の見込みがない人は、試験を受けさせなかったり、留年させ卒業させないことにする。合格率計算の分母を小さくすることで、合格率を高めることも可能だということです。
それでも全大学の新卒不合格者合計161名のうち、加計学園の不合格者は37名ですから、約23%を締めたことになります。
(新卒受験1029名、新卒合格868名)
想像どおり、かなり悲惨な結果と言えるでしょう。
数字は主に加計学園HPの事業計画・事業報告からのリンクと、農林水産省の「第75回獣医師国家試験(令和5年度)の結果について」で得たものです。