嘘を言わずにできること

「国語の成績と数学の成績には負の相関がある」こんな話を聞いたことはありますか?不思議に思ったことはありますか?これは、ある条件をでは正しいけれど、別の条件では正しいとは言えません。今回は、これが起きる理由と、情報の切り取りの危険性について考えます。

散布図の切り取り例

初めに以下の散布図を確認してみましょう。

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国語ができる人は数学が苦手、数学が得意な人は国語が苦手、と理解できます。負の相関が読み取れます。多くの高校生はこれを実感するようです。何故でしょうか。それは、多くの高校生が受験して高校に進学することが影響しているようです。


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例えば、国語・数学の点数にほとんど相関がない(または弱い正の相関がある)時、受験によって一部の人が入学したとしましょう。例えば赤い実線の右上、点線の左下が1つの学校に入学することになります。つまりデータ(サンプル)の一部の切り取りです。すると、上に示した散布図のように、負の相関になります。

    「国語の成績と数学の成績には負の相関がある」

それぞれのデータに嘘はなくても、データの一部を切り取れば、負の相関でも正の相関でもできてしまう、ということです。


情報の切り取りについて

情報も、切り取り方次第で印象を変えることができてしまいます。ここでは「ワクチンを打ちましょう」というキャンペーンを行うにはどうすれば良いかを考えてみましょう。効果を主張するのが一番ですね。
・イスラエル、イギリス、アメリカでは感染者数が激減している
・アメリカでの増加は主にワクチン接種を受けていない人
・日本の感染者は若い人が多くなっている
・子供の感染が増えている
・高齢者の感染が少なくなった
を宣伝することでしょう。さらにワクチンが切り札だ、と繰り返し、ワクチンパスポートの議論を行い、ワクチンを接種すればマスク不要など、魅力的な政策もワクチンを打つように促す効果があるでしょう。ポイントは決して嘘は言わないいことです。

一方、不都合な情報はできるだけ取り上げないこと。
・イスラエルは6月上旬に増加に転じ、前の波のレベル近くになっている
・イギリス、アメリカの感染者数も増加中。
・8月2日大阪府で高齢者施設でクラスター
・8月6日栃木県のワクチン全員接種の高齢者施設でクラスター
・その後、愛媛(8/23)千葉県(8/25)埼玉県奈良県(8/26)、
 沖縄県佐賀県岡山県(8/28)
イスラエルでの調査:ワクチン接種後4か月経つと2か月後の効果の半分
抗体価はワクチン接種後3か月で1/4 に減少(8/25 藤田医科大)
・ワクチンの副反応疑いは、因果関係不明だと説明とする
・イスラエルでは(効果がなくなってきたので)3回目の接種を検討
これらの情報は、探せば見つかります。つまり隠されていません。隠蔽ではないわけです。

私たちが受け取る情報が、このように切り取られ、フィルタリングされていたら、どんな印象を持つでしょうか?


最近気になるのが、「家庭内感染が一番多い」という発言です。積極的疫学調査を減らしている現状では、どう考えても家族以外の疫学調査が減るので、わかっている感染経路は家庭内が中心になります。つまり濃厚接触者のPCR検査を家族に限定するという状況も、データの切り取りの1例と言えるでしょう。