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議会で、軽中等度難聴者への支援について質問しました

 9月13日水曜日、ふじみ野市議会で一般質問を行いました。テーマは、「軽中等度難聴者への支援」です。 
 質問の趣旨は、高齢者の2人に1人が難聴とされ、認知症への影響や、友だち付き合いの減少による孤立、という悲しい状況に陥るのを防がなければならないとの思いからです。

 WHO(世界保健機関)の世界聴覚報告書(2021年)によると、2050年までに世界で約25億人(4人に1人)が難聴を抱えて生活するとされています。このうち7億人は、何らかの対策を取らなければ、耳と聴覚のケアおよびその他のリハビリテーションサービスが必要になると指摘されています。難聴は、30代から始まると言われ、65歳を過ぎると男性の4割、女性の3割、70代になると約半数が加齢性難聴だと言われています。特に、言葉の聞き取りに支障が出るのは、60代・70代と言われています。

 聴力の障害の程度は、平均聴力レベル(※1)の値に応じて、軽度(26~40dB)、中等度(41~55dB)、準重度(56~70dB)、重度(71~90dB)、最重度(91dB以上)と区分されます。両耳が70デシベル以上ですと、障がい者と認定されます。また、医学論文でも、「難聴は認知症の危険因子であり、難聴への介入は認知症の予防法として最も有効」「したがって、少なくとも軽度認知障害の時点で、難聴がある場合はできるだけ早く補聴器の装用など対策を考える必要がある」との指摘もされています。聴覚障害の認定を受けた方には公的支援がありますが、聴覚障害には至らない程度、いわゆる軽度中度の難聴者に対する支援も、認知症、介護予防、高齢者の孤独防止の観点からも重要と考えます。

【質問1】65歳以上の住民税非課税世帯者への補聴器の購入助成についてです。本市においては、軽中度の難聴の18歳以下の子どもへの補聴器購入の助成を行っており、これはすばらしいことと評価いたします。
 一般にですが、高齢の加齢性難聴の方で補聴器を利用されている方は、1割とか2割だと言われています。ほとんどの方がそのまま放置をして、そのため難聴が悪化し、日常生活に支障が出るだけでなく、認知症のリスクも高まっています。こうした方への自治体の支援をみますと、これは住民税非課税世帯の方が対象ですが、東京都の各区を中心に全国に広がっている趨勢です。令和3年度より、加齢性難聴者の補聴器購入への助成を始めた沖縄県那覇市は、5年度の予算では拡充を行っています。こうした先進事例に倣い、難聴を抱える高齢者を認知症や孤独から守るという趣旨からも、本市でも同様な施策をとられることが肝要と存じますが、お考えを伺います。

鴻巣市は、補聴器購入助成を5年度に開始

【回答】(前段略)世界保健機関では、41デシベルからの補聴器の装用を推奨しており、市としても、中等度の難聴から補聴器を活用することは効果的であり、コミュニケーションの向上から社会活動が活性化し、生活の質の向上につながる可能性があると認識しています。
 補聴器の購入助成については、県内においても実施している自治体がありますが、多くは今年度から助成制度を開始しており、助成制度により、補聴器の購入が促進されたか、購入された補聴器が利用され続けたかといった効果検証はこれからになると思われます。このため、今後、他自治体の助成制度についてその効果を研究したいと考えています。

【意見】購入助成は、住民税非課税世帯など経済条件を設け、また、年度で予算上限額を定め、これに達したら、当該年度は受付終了という自治体もあります。経済条件などから、難聴の状況にある方にこれを脱する支援をしていくというのが質問の趣旨です。難聴の方は、会話の成立が難しくなると、友達付き合いが少なく、あるいは無くなっていってしまうということがあります。こうした孤立や孤独は何としても防ぐ必要があると考えます。ぜひ積極的なご検討をお願いします。
 
【質問2】「聞こえのチェックシート」の活用です。このシートは日本補聴器工業会や補聴器販売店協会がそれぞれ出しているものです。例えば会話をしているときに聞き返すことがある、それから後ろから呼びかけられると気づかないこともある、聞き間違いが多い、見えないところからの車の接近に全く気づかないことがある、話し声が大きいと言われるなどの質問があります。これに当てはまる項目が多い人は、できるだけ早く耳鼻科の専門医の診察を受けることを薦められています。
 

練馬区の聞こえのチェックシート


 例えば、このシートを市役所や介護予防センターの入り口に置いておく、特定検診受診券の郵送時に同封する、介護予防センターや自治会集会所で関連の講座を開催し、参加者にチェックしていただく、市の広報掲示板に、「聞こえのチェックしましょう」というチラシを掲示する。これにはチェックシートにつながるQRコードをつけておく。こういった活用で、難聴予防、難聴の方への支援につながると考えるのですが、こういった施策へのお考えをうかがいます。
【回答】東京都健康長寿医療センターが行った研究結果では、耳の聞こえの不調に関して、「診察を希望している」「既に受診したことのある」人は約30%に留まり、高齢者において加齢性難聴による受診の意向が引くことが分かり、難聴であることの自覚をもってもらう必要性を示す結果になっています。聞こえの不具合を自覚していただくため、聞こえのセルチェック等を活用した受診勧奨が必要と考えますので、市報やチラシ等で「聞こえのセルフチェック」や聞こえの不具合がある場合の早期の耳鼻科受診の必要性等について周知を図ってまいりたいと考えております。
【意見】
 聞こえのセルフチェックの活用、ご回答ありがとうございました。施設や市報での周知をされるとのことでぜひお願いいたします。なお、豊島区では、聞こえチェックシートの結果で、聞こえに問題がある方に対して、聴力検査(聴能力チェックアプリ)を介護予防センターなどで行っています。ご参考にしていただければと思います。
 

豊島区の聴脳力検査アプリ


【質問3】「ヒアリングループの設置」です。ヒアリングループとは、補聴器(Tマークに切替)を通して、周囲の騒音や雑音に邪魔されずに、目的の音や声だけを正確に聞き取ることができる装置です。アンプとコード線のようなアンテナからなります。窓口での問い合わせや手続きで、補聴器を使用する聴覚障害者がより聞こえやすくなります。また、身体障害者手帳をお持ちでない方、軽中等度難聴の方でも補聴器装用時の聞こえを疑似体験できます。可動性があり、会議室などへ持ち込んで利用するという方法もあります。
 川越市では、2020年に役所の障がい課の窓口に設置しています。本市におきましても、公的施設の窓口に設置されれば、対象者の方が、問合せ、手続きをする際、大きな助けとなると考えますが、設置についての考えを伺います。
【回答】障がい福祉課には、話し手の聞きやすい音質に変換してコミュニケーションをサポートする卓上型対話支援システムもあり、窓口等で活用しているところです。また、本市もヒアリングループを保有しております。持ち運びが可能なヒアリングループは、必要なときに必要な場所に設置できることから、市が主催するイベントや会議等で活用していきたいと考えています。

ヒアリングループのマーク


【意見】
 ヒアリングループを市は保有している、とのことですが、周知については、ぜひ進めていただきたいとお願いします。ヒアリングループには、全日本難聴者中途失聴者団体連合会が作成したヒアリングループのマークというものがあり、これを掲示することで、ヒアリングループを利用できることを知らせることになります。本市施設においてもこのマークの掲示など、ヒアリングループの保有と利用を促すマークなどの掲示について進めていただきたくお願いします。

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