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#最期の言葉
寅さんみたいな父の最期
8年前、がんの末期でものを食べられなくなった父は、自分の家で自分の最期を迎えることにした。彼は栄養や水分補給の点滴もしないと決めて、その意思は固かった。ときどき、果物の汁をすすったり、氷をなめたりして生きていた。コップで水分をごくごく飲むことはできなくなっていた。
胸腺という、めずらしい箇所のがんだった。国立がんセンターでもう打つ手がないと言われた時、父は一切の治療をやめ、延命もしないと決めて、
8年前、がんの末期でものを食べられなくなった父は、自分の家で自分の最期を迎えることにした。彼は栄養や水分補給の点滴もしないと決めて、その意思は固かった。ときどき、果物の汁をすすったり、氷をなめたりして生きていた。コップで水分をごくごく飲むことはできなくなっていた。
胸腺という、めずらしい箇所のがんだった。国立がんセンターでもう打つ手がないと言われた時、父は一切の治療をやめ、延命もしないと決めて、