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生成AIに仕事が奪われる?

表題はなんか話題になってそうなものにしてみました。
2015年くらいの深層学習の台頭の時もこれからヒトの仕事は奪われると言われてきました。
そして、2023年GPTの台頭などによって、更にその話題は加速しています。

この辺の話題に関して、研究者やデータサイエンティスト目線だと違う意見もあるかもしれませんが、ビジネスサイドとしてかれこれ10年弱AIの実装などに携わってきた人間として、ツラツラ書いていこうかと思います。

昨今のAIの何がすごいのか

出来ることの範囲の広さ

まずはやはり範囲が広いことです。
2014〜2015年に深層学習が台頭してきた第3次AIブームが来たと言われた時には、ビジネスや日常のレベルで使えるのは画像認識くらいでした。

画像から車を認識する、ヒトを認識する、特定のモノを見つけるといったタスクは人間を超えるほどまで性能向上しましたが、あくまでこうした物体認識がメインでした。

一方で最近登場しているのはマルチタスクをこなすAIです。

画像認識と翻訳と意味理解と要約と画像生成と音楽生成と・・・いっぱいあります。
とにかく1つのモジュールでいろんなことができてしまい、それぞれのレベルが高度です。

扱える人のハードルが低い

次に、今までのAIは専門の技術者(いわゆるデータサイエンティスト)がデータの前処理を行い、学習をさせて、AIを生成しなければいけませんでした。

専門的な知識や経験、プログラミングスキルがなければAIを生成することはできず、そうした人たちの報酬は鰻登りでした。

一方で最近のAIはどうか。
プロンプト(呪文のようなもの、前提知識やAIへの指示)を書けば、どんな人でもある程度のレベルのAIを運用したり作ることができてしまいます。

この「AIへの指示」は個人的には非常に興味深くて、組織における周囲のメンバーへの指示と似ています。簡潔に指示することが良いですが、前提条件や結果への要望を伝えなければならず、マネジメントスキルが低い人はAIにもうまく指示することができないのだろうなと思います。逆に言えば、GPTなどに指示を出して、その結果を見ながら成長もできるのでは?と思います。

更にいうと、最近のAIはデータサイエンティストやエンジニアが今まで行ってきたプログラミングもやってくれます。
「こんなの作りたいな」というをちゃんと指示として書くことができれば、AIが勝手にコーディングして作ってくれます。最近、弊社のエンジニアもAIに書かせて、それを修正するという感じにしてだいぶ効率的にアプリケーションなどを作成しています。

ということで非エンジニアである私でもちょっとしたアプリケーションやwebサイトが簡単に作れてしまう世の中になったのです。

進化の早さ

次に今までの違いで一番感じるのが進化の早さです。

2014年に深層学習が台頭してきても、それがビジネスへ本格実装され始めたのは2018年くらいなのではないかと思います。
つまり技術が生まれてからビジネスで使えるレベルになるまで、4年くらいかかっているのです。

では生成AIはどうか。

2023年頭に出てきて、もう色んなサービスが出てきているし、2024年からも様々なアプリケーションに導入されようとしています。たった1年でビジネス活用レベルまできているのです。

もちろんGPTは2023年の前から出てきていたし研究者の間では話題になっていたし、そこから考えるともう少し時間が経過していると思われるかもしれませんが、世に出てきてからの早さは圧倒的に早いです。

これは技術革新の早さが一番大きいですが、それ以上にAIというものへの嫌悪感がなくなったり、AIを使うという習慣が出てきた影響も大きいでしょう。

今までの技術革新から考えてみる

過去の技術革新

一説によると、1760年以降、人間の生産性は30倍上がったらしいです。
電気や電話の登場が大きいでしょうけど、やはりパソコンやスマホ、インターネットの技術革新がこの数十年では最も大きいでしょう。

パソコンの登場とwindowsの登場

そんな中でパソコンの登場とOS(特にwindows)の登場は、2022年より前のAIと2023年以降のAIの登場に似ています。

windows登場前のパソコンは、何もない黒い画面にコンピュータへの指示を専門の言語で打っていく必要があり、それができるのは限られたエンジニアだけでした。

一方で1995年にwidows95が出てきて、OSというものを通じて、誰でもマウスで操作でき、自分達が普段使う言語で言葉を入力することができるようになり、ここから一気にパソコンが普及していきました。

AIも一緒です。今までは専門知識を持つ人しかできなかったのが、誰でも扱えるようになってきているのです。

スマホの登場

スマホの登場も大きいです。
人の働き方、行動はこれにより大きく変わりました。

iPhoneが登場した2007年、最初持っているのは一部の人、ちゃんと扱えるのは一部の人でした。

しかしながら今はどうでしょう。
お年寄りから小中学生までがスマホを扱うことができています。

どんな技術も最初は使われないことが多いし、使いにくいかもしれません。ただ、人間は今までもこうした技術革新に合わせて進化してきた生き物であり、AIの普及も進んでいくでしょう。

これから起きること

大したことではない

結論、大袈裟なことではないと思っています。
もちろん、一部の職種には大きな影響を与えることもあるかもしれませんが。。。

今までの技術革新でも、それによって特定の仕事が奪われたりしたかもしれませんが、それでも新しい職種が生まれたり人間しかできない仕事が新たに生まれたりして、うまく技術と付き合うことができているのです。
それは今までの技術革新と人間の生活の効率化の歴史が証明しています。

とはいえ、昨今のAIは単純作業だけでなく、複雑で考えなければいけない作業もできるようになってきています。だからこそ、人間も進化しなければいけないし、人間しかできないものとは何かというところにフォーカスする良い機会が訪れているとポジティブに捉えるべきです。

日本における生成AIの重要性

そして、こうした問題は、こと日本においては特に問題ではないと思っています。

なぜなら少子高齢化で日本は、働き手を必要としているからです。
東南アジアなどの平均年齢の低い発展が目覚ましい国では、こうした若い労働力をどんどん使いたいはずです。一方で日本は海外の人材に頼ったり定年退職後の働き手に頼らなければならないほと人手不足です。

だからこそ効率化や省人化に大きく寄与するAIを活用する土壌が揃っているのです。

ですが、人が採用できなくて廃業してしまう町工場、飲食店、こうしたところにAIを導入していこうというのは少しハードルが高い気もします。
なぜならやはりAIの導入には少しお金がかかるし、なかなかこうした最新の情報が地方まで届かないこともあるからです。

じゃあどうすれば良いか。個人的に思うのは、職業の転換・流動です。

例えば、「自動運転でタクシーが無人化する」、「経理などの管理部門の業務が省人化する」ことで、数万人の雇用が浮くことになるでしょう。
この労働力を町工場や飲食店に使ってもらうのです。

その時に重要なのは、報酬の考え方です。
運転や管理業務はAIに置き換われてしまう職種なのであれば一部の高度な人材を除いて、その価値は半減です。逆に町工場の難しい作業や飲食店でのコミュニケーションや調理作業はヒトでなければできないことであり、ここの報酬をあげるべきだと思うのです。

長い期間はかかるかもですが、AIの導入・普及によって、それぞれの職種に対する評価・報酬の見方が変わっていってほしいし、いくべきだと思っています。
結果、人気の職種も変わるかもしれませんし、今高給取りの人がそうではなくなるかもしれません。
ただその土壌は整っていて、20年くらい前までの終身雇用・年功序列の考え方は徐々になくなっています。時代や技術の進化に合わせて、職種を変えたりする世の中になってくるのではないでしょうか。

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