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企画と番組 その2

昨日書いた「企画と番組」が予想外に反響が大きかったのでその補足も含めて「その2」を書きます。

企画と思いつきは違う。このことを混同している企画書がテレビ局で募集してもとても多くて約8割が「企画を出せ」と言っているのに「思いつき」を出してくる。「思いつき」がゼロから1の大事な部分ではあるがそれは「種(seed)」であって、脳内シミュレーションを”自分”でやり切って生まれるものが「企画」になるのである。

ではその脳内シミュレーションは具体的にどうやるのか?
「こういう番組(事業)があったら面白いんじゃないかな?」とふとある日思う。これが「思いつき」。「ウン!ソウダ!ソウダ!そう言えば企画募集していたな!これを書いて出してみよう」こうして「思いつき」が企画募集に出されてあっさりと落とされる。これは何故か?いい思いつきかもしれないのに「seed」のままで企画に育てる前に出してしまっているからなのだ。

まず「思いつき」に対して最初にするべき脳内シミュレーションは『今もう既にあるか?』である。本当はここが第一歩であるから思いつく時点で「今ないもの」を思い付いて欲しいのだが、まあここは上級編ということで『思いついたものはもう既にある』とちょっと調べたらあるしたら「この思いつきをどう変えれば”違うもの”になるか?」である。既にあるものを見て改良点を見つけることも簡単である。そしてそれは企画書に明記する。まあこれで一応企画書になる。まあ最悪は「思いついたものは既にある。そしてそれはそこそこ当たっている。じゃあそのままやればいいじゃないか?」
これを『パクリ』と呼ぶ。ひょっとしたら2匹目のドジョウでそこそこ当たるかもしれない。でも本当にヒットにはならないし、その癖がつくと企画力は全く身につかない。そしてその企画、事業を採用する会社は実はいつまでも本当に成長を遂げない。
企画募集で「他局の〇〇みたいな企画を募集」という局があると聞いたことがあるが正直信じられない。視聴者、ユーザーは馬鹿ではない。パクリが大ヒットしたことはないし、そのことをやってトップに立った会社はないことを学ばなくてはならない。テレビ局の70年の歴史を見るとその結節点にあるのは「今までになかった番組企画」である。今で言えば「半沢直樹」大昔で言えば「欽ドン!」そして「ひょうきん族」「元気が出るテレビ」そして恥ずかしながら「電波少年」。

上級編として「今ないもの」を思いついたとしよう。これはやらなくてはならない脳内シミュレーションの数は格段に上がる。まずやったことがないのだから「本当に実現できるのか?」をシミュレートしなくてはならない。物理的に予算的にキャスティング的に人的能力としてなどなど。これを一つ一つ自分で考えて克服していく。
思いついたはいいが本当に可能なのか?例えば『月面運動会』確かに面白そうだが今のテクノロジーでは無理だ。では可能になるまで置いておこう、となる。このテクノロジーというのは新しい企画を考える上でとても大事で僕が去年やった「NO BORDER」は3Dスキャンという技術の進化によって実現されたライブエンタメである。
https://vimeo.com/376722198

「今ないもの」を思いついたとき企画にするまで脳内シミュレーションをどのくらいするか?ぶつかる壁で言うと最低400くらいの壁をクリアして「思いつき」は「企画」になる。時間で言うとある時点でどうしても超えられない壁に当たって僕自身のある企画は4年くらい「思いつき」が「企画」になるまでかかったものもある。

そしてその脳内シミュレーションを繰り返す中で常に持ちづけなくてはならない視点は「ところでこれは面白いのか?」である。それを三回の脳内シミュレーションに一回挟むくらいの感じで迷路を進んでいくイメージで「思いつき」を「企画」にする。

10月末から始まるこの講座はそんなことをやろうとしている。
https://machinocircle07.peatix.com

ちなみに「世界向けの企画を考える講座」というのも「今までにない」そして今年から始めたのだが「まだ誰も追って来ていないもの」である。
企画って実現されて世界で評価されてゴールなのだけれど。この講座は企画を考えるだけではなくて、プラットフォームに提出して採用されたら制作するところまであるというのがかなり希少な講座であると思っている。

いつまでやるかは全く不明ではありますが。



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