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ジブリパークの凄まじさ

1週間前2022年10月31日愛知県長久手市にできた「ジブリパーク」の内覧会に幸運にもご招待いただき行ってきた。
今日はその凄まじさを書き留める。

新幹線名古屋駅から地下鉄に乗ってさらにリニモという電車に乗って着いた”愛・地球博記念公園”から歩いて10分ジブリパークの入り口に立った。
着くのが早過ぎた!まだ開場まで1時間もある。仕方なく近くの人工芝の上で寝る。朝早く家を出たので本気で眠ってしまった。天気が良くて気持ちよかった!
11時オープニングセレモニー開始。
鈴木敏夫さんの挨拶が最初は何言い始めたのかと思うような出だしからグイグイと聞く人を引っ張り込み結果いろんな人に配慮した素敵なスピーチになっているのはいつものこと。
セレモニーが終わって早速「ジブリの大倉庫」エリアを見て回る。ジブリの作品の舞台が流れるように連なっている。後で気がつくのだがほとんど文字情報がない。ここは「千と千尋」のコーナーです。とか「もののけ姫」です。という説明文がない。だから展示物を見ている感じがしない。まさにその映画の中に入ってしまった感覚が生まれる。いつの間にか「コクリコ坂」の部室の前に。気が付いたら「借り暮らしのアリエッティ」の部屋の中に。
タイトルに使った写真は言わずと知れた「カオナシ」と一緒に乗る電車のシーン。こんな写真を撮れるセットが10以上もある。くどい様だが重ねて言うとあの映画のこのシーンですという文字看板は一つもない。たぬきが地図を囲んで相談しているところに一緒に入り込めるようになっているだけだ。そしてさらにすごいのはこの写真を見てわかるように照明が完璧に映画のシーンを再現するようにセットされているのだ。
しかし本当に驚くのはこの「ジブリの大倉庫」を出て「どんどこ森」エリアに行った時だったのだ。

「ジブリの大倉庫」を出て園内バスもあるのだがせっかくだから歩いて行こうと言うことで公園内の登り道を案内に沿って歩くこと20分。どんどこ森の頂上に到着。そこから少し下ったところに「となりのトトロ」に登場した”サツキとメイの家”がある。入場料千円(招待だから今日は無料)チケットを渡して中に入る。
普通の家。
昭和30年代僕が小学校に行っていた頃の家が再現されている。60年前とはいえ家は家。玄関があって壁があって屋根があって懐かしい感じはするが今だってたまに築60年の家(そういえば今僕が住んでいる鎌倉の家はそんな頃建てられたものだ)はあるからそんなにビックリしない、、、、、と思っていた。玄関を入るまでは。
玄関を入る。靴がある。靴箱がある。スタッフが「どうぞどこでも開けてください」と言うので靴箱を開ける。その家庭に住む人の靴が並べられている。その中にブリキの缶がある。中には靴磨きのチューブとブラシが。それも使い込んだ。
上がって台所に入る。隅に食器棚がある。そこには重ねられた茶碗や湯呑み。その手前にプラスティックのケースが。「あ〜ウチにもあった!」調味料などを入れて回転する透明部分で蓋をするクリームと赤のツートンのケース。開けてみる。使いかけの醤油やアジシオ。ん?隅の方に小さなビニール袋が!輪ゴムで止めてある。開けてみたら5粒残ったゼリー菓子。
そこまでやるのか!?
居間に入る。箪笥がある。開ける!子供の浴衣が入っている段。その下は子供の下着が入っている段。それらもいい具合に着古した感じだ。居間の隅に子供の勉強机があった。引き出しは開けるまでもない。その横に立てかけたいい具合に使い込まれたランドセル。開けてみる。ノートと筆箱。昭和30年代の!
隣の部屋に入る。ここは夜は寝室になる部屋か。箪笥の横にゴミ箱がある。紙屑が入っている!まさか!中を探ってみる。クシャクシャになった福引券!!!しかもこれ見よがしではない下の方に!

中にあった福引券

これ以上は言いますまい。ここまで読んで「行かねば!」と思った人のため。しかし家の中で確信した。間違いなくマックロクロスケはこの家のどこかにいる!

ディテイルに神は宿る!と僕もそう思っていた、このnoteのそんなことを書いたこともある。

https://note.com/t_shacho/n/n70fc7e77ad95
細部(ディテイル)にしか神は宿らない

しかしここまでやるのか?驚愕した!そしてそうかここまでディテイルにこだわればただの家がすごいアトラクションになるのだ!と足が震えた。
ディズニーランドの最新アトラクションにも負けないここにしかないアトラクション、エンターテインメントがここにある。そしてそれこそが「ジブリの哲学」なのだ。これまでジブリが映画を作る上でやってきた「細部へのこだわり」を現実の世界でやっただけのことなのだろう。ジブリのスタッフ全員が”当たり前でしょう?”と微笑むのだろう。僕らはそこまで気が付いていなかった!そしてそれが愛知県長久手市に建設されたことでその「ジブリの哲学」を知ることになったのだ。
今完成しているのは「青春の丘」エリアでそこには「耳をすませば」の「地球屋」がある。どんなところかは言うまでもない。一つだけあらためて驚いたのは中に当然バイオリンがある。つい博物館に行ったときの癖で触らないように顔を近づけてみていると後ろからスタッフが「どうぞ弾いてください」と言われたのだ。普通「触らないでください」と言う注意書きが至る所になるはずだがジブリパークには一切ない!さわり放題なのだ。作品の中に入ってもらおうとしているのだからそんな注意書きは邪魔だ!と言うことなのだろう。

最後にもう一度「ジブリ大倉庫」に入りグッズショップに入り家族に頼まれたお土産を買う。言うまでまでもない。グッズだってすごいクオリティだ。少し割高に感じるかもしれないがそれは「本気でこだわって作る」と言うジブリ哲学がここでも貫かれているからだ。

最後にもう一つこのグッズショップで普通のショップではあるはずのものがないことに気がついた。
それは「お一人様○個まで」と言う表示。欠品をおそれてそんな表示をするのだろうがジブリはそんな無粋なこともしないのだ。いくらでも買っていってください!多分莫大なバックヤードがあるに違いない。

エンタテインメント=人を楽しませることの大きなヒントがある。それは徹底的なこだわりであり哲学を貫き通すことなのだ。これはディズニランドでもUSJでもやっていない。世界でジブリパークだけがやっていることだし、そしてジブリが今まで映画制作でやってきたことなのだ。

まだまだ世界に通用させる方法はいくらでもある。そのヒントは昔からジブリの中にあったし、それが今世界でジブリが人気の理由なのだ。

最後にもう一つだけ。これから行く人がたくさんいるだろうけれどその日が来る前にもう一度ジブリ映画を復習しておくことを圧倒的にオススメする。

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