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IBJJFのヒール解禁について

先日IBJJFから、来年からノーギ柔術(以下ノーギ)での茶黒においてヒールフックと外掛けを解禁するという発表がありました。

最近のグラップリング人気の流れを受けてでしょうが、柔術の歴史に残るルール改正です。
しかし柔術も昔は普通にヒールもありだったと聞いたことがあります。ツイスターも有効で、今より遥かに禁止技の少ないルールだったようです。なので昔のルールに回帰していってるとも言えます。

足関節嫌いのピュア柔術家にとっては衝撃ですね。現実に来年から足関節解禁になったら柔術業界がどのように変化するか想像してみました。

①棲み分けがはっきりしていく

まず第一に競技者で柔術オンリーでやるかノーギオンリーでやるかがよりはっきりするでしょう。これは容易に想像できるし、既にその流れは起きています。

ラペラを駆使した難解な技が当たり前になってきている現代の競技柔術と、足関節の制限がないノーギでは、使う技術が大きく違ってきます。
よりどちらか一方に集中しなければ、全ての技術を追いかけるのは難しいです。

そうすればより高いレベルを目指す競技者は、どこかの段階で柔術とノーギどちらかに絞らなければトップを目指すのは難しくなるでしょう。

今までは柔術とノーギはルールは同じだったので、ノーギはまだ柔術ベースがある選手が勝ちやすかった印象です。

②ノーギがよりエキサイティングになる

従来のノーギだと、道着も使えずに足関節の制限もされていたので下からの攻め手が少なく攻防が生まれにくい側面がありました。さらに汗をかいてくるとお互い何もできなくなります。
道着に比べると退屈な印象は否めなかったです。

しかし使える足関節が増えることで、下からの攻めがやりやすくなるので、見る側としては動きが多く面白くなります。極めの多いスリリングな試合は人気が出るでしょう。

③全体の足関節の技術が向上する

これもシンプルな話です。
競技者が増え、競争が激しくなることで足関節の技術の成長が促されます。企業などの競合他社が多いとサービスが向上するのと同じです。

今までになかった技や戦術が生まれる可能性があります。

そうなれば柔術との技術の開きが大きくなって、片手間でノーギをやって試合で勝つのはより難しくなるでしょう。

④ノーギワールドがADCCに匹敵する大会になる?

現在グラップリングの最高峰の大会といえば間違いなくADCC(アブダビコンバットクラブ)です。

しかし2年に一回の開催で、予選を勝ち抜くか柔術などでチャンピオンクラスの実績を残さないと出場できない狭き門です。さらに階級の分け方が11キロ刻みと大きいのも選手にとってはネックになっています。(女子の階級はもっと大雑把)

ですがノーギワールドなら階級の分け方も柔術とほぼ同じで数も多いので、選手としては出やすいです。さらに毎年開催なのでチャンスも多い。

無理にADCCを狙わずにノーギワールドにフォーカスする選手が増えて、ノーギ柔術が盛り上がるのではないでしょうか。

またポイントシステムもそのままならADCCよりは柔術ベースが強い選手が勝ちやすいと思います。ADCCはアドバンテージもなくポイントも入りにくく、レスリングの要素が大きいからです。

IBJJFルールでは引き込みに対するマイナスポイントが無いので、下のポジションを選択する選手が増えるのではないでしょうか。

最後に

他の細かいことは実際にルール改正されないとわかりませんが、50/50の攻防が道着とノーギで全く変わるのは間違いないです。
練習での切り替えが難しくなるので、両方やる人は大変でしょう。
指導者と審判も、道着とノーギのどちらのルールも熟知しておかないといけませんね。

格闘技は技を解禁するより禁止にすることの方が多いので、まさかヒール解禁にするとは予想してませんでした。
グラップリング業界の盛り上がりを見て、人材の流出を防ぐための措置なのかもしれません。英断ですね。

ゲームが大きく変わる今回のルール改正ですが、それでもTop of top の選手はどちらのルールにも対応してくるでしょう。
強いヤツは結局何をしても強いですから。

ではまた。

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