脳汁爆発! 八日間の超集中読書(漫画)
令和5年1月16日から23日にかけて、私はとても素晴らしい体験をした。
生まれて初めて「メモを取りながら漫画を読む」という行為を実行したのである。
時系列がバラバラに描かれている漫画であるため、一度頭を整理しようと、備忘録のような意味合いで、軽い気持ちで試みた。しかし、1巻を終えた時、私は得も言われぬ快楽を感じたのである。
それから既刊である8巻まで、毎日1冊ずつ、パソコンのWordにメモを取りながら夢中で読んだ。
「超集中読書」とでも呼ぶくらい、小さな伏線も見逃すまいと、全神経を集中して読んだ。
よく考察などを掲載している方がいるが、並大抵の努力ではないことが、今ならわかる。
1冊につき、大体2時間から3時間かかる。精神はすり減り、くたくたになる。仕事で遅くなった日などは日付をまたいでしまい、寝不足となった。
それでも、毎日が楽しくて仕方がなかった。間違いなく、これまでで最高の読書体験だったと言える。
「脳汁」とはよく言ったものだ。この八日間、まさに私の脳汁は爆発的に噴出していた。普段ぼんやりしている分、その潤滑油を得て、ものすごい勢いで回転しているのを実感することができた。
整理されていない状態では、Wordのメモは24ページに及び、文字数は1万8千字程度となった。明日からはこれを整理しながら、また再び漫画に挑むことになる。あのシーンのこのシーンは繋がるのではないか。このシーンに出てきたこの人物は、あの人物と同一なのではないか、などの確認作業である。
これまでは1巻から8巻までを1冊ずつ読んだが、今後は8冊全てを行ったりきたりしなければならない。とても楽しみである。
さて、その漫画というのは、私が最も敬愛する石黒正数先生の『天国大魔境』である。現在もアフタヌーンで連載中で、上で述べたように、8巻まで発売されている。今年アニメ化も決定している、注目の作品だ。
大災害によって崩壊する前の過去と、崩壊後の現代の時系列が同時進行で描かれており、登場人物も膨大である。アフタヌーンは月刊であるため、コミックスの刊行ペースは半年に1冊程度だ。これでは記憶も薄れるし、混乱する。
まあ、毎回1巻から再度読み返しても良いし、きっと9巻が出たら私はそうするのだろうが、とにかく一度整理してみようと、キーボードを叩いてみたのである。
記録したのは、登場人物と、時系列、登場する謎の怪物、舞台(主人公たちが訪れた町など)、そして伏線と思われる事項や、残っている謎である。
足りない部分もあるとは思うが、概ね満足だ。
実は、8巻と同時に「ガイドブック」も発売されている。そちらはまだ購入しておらず、6巻くらいで「あれ、これガイドブック買ったらいいんじゃね?」と思わないでもなかったが、勢いで完走した。
まとめが終わったら購入する予定で、それも楽しみである。
願わくは、ガイドブックに記されていない事項が一つでもあればと思う。
現在私は、そのまとめが終わったら、このnoteで公開することを考えているが、悩んでもいる。
今年はアニメも始まるし、漫画を読んでいない方がうっかり記事を読んでしまうと、作品を楽しめなくなるかもしれない。
「ネタバレ注意」と書いても、読む人は読む。自己責任ではあるが、記述し、公開する側にも責任はある、と私は思う。
だが、自分の備忘録のために始めたとはいえ、ここまで夢中になって取り組んだ成果を、誰かに見て欲しいという欲望はある。なにしろ、こんなにも一つのことに集中したのは久々なのだ。
ガイドブックまで出ているのだから、事実関係くらいの整理なら大丈夫ではないだろうか。うん、そんな気がする。そもそも、うっかりコミックスの裏表紙を見てしまっただけでも、けっこうなネタバレと言えなくもないのではないか。うん、大丈夫な気がしてきた。
ちなみに私は、考察はしない主義だ。8巻までを読んでわかる「事実」だけをまとめて、公開したいと思う。なるべく。
さて、ではこの漫画のまとめが終わり、公開も終えたらどうするか。また違う漫画や、今度は小説や映画など他のジャンルでもやってみようか。
一瞬それを考えたが、やめた。
なぜなら、現在私が購読しているコミックスで、ここまで複雑なものはないからだ。漫画というのは、大抵は時系列通りに進み、過去は時々回想シーンとして描かれる。伏線回収時も「ああ、あれね」という回想が差し込まれることが多い。
石黒先生は前作『それでも町は廻っている』でも時系列をバラバラにするなどの手法を用いており、油断がならない。故に、楽しくメモができるのだ。
小説は描き切らないのが普通であるし、文章の流れを味わうものであると考えているため、向かないだろう。漫画も読者の想像に委ねることもあるが、比ではない。
映画も、私は一気に見た後の余韻が好きな質なので、向かない。もし何十回も見るような、好きでたまらない映画がある方なら、試しても良いかもしれない。
もしやれるとするなら、同じく石黒先生が連載中の猫漫画『木曜日のフルット』だが、おそらく途轍もなく疲れるため、やらないだろう。『キングダム』も整理してるみと面白いかもしれないが、まあ疲れるし、既にやっている人がいるような気がする。
ああ、明日も楽しみだ。
そう思って寝るのは、気分が良い。
まとめ終えるのが少し勿体ないくらいだが、それは9巻への楽しみに繋がっていくだろう。
そして、この素晴らしい体験を通して、私の中に何かが生まれつつある。
そのことを、私は今感じている。
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