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韓国マーダーミステリーブームのきっかけ

先週、韓国の新興マーダーミステリーメーカー・Mystery Gamesの方々が、日本のマーダーミステリーゲームシーンを視察したいとのことで名古屋にいらっしゃったので、諸々アテンドしました。

二日間のアテンドの中で何度か、「クライムシーン」という言葉が聞かれました。これは芸能人が事件の登場人物となってセットで再現された事件現場を捜査し、登場人物の中にいる犯人を捜すというバラエティー番組。2014年にシーズン1、2015年にシーズン2、2017年にシーズン3、そして今年2月からリターンズが放送されており、この番組が韓国のマーダーミステリーゲーム人気に一役買っているのだそうです。

実はこの『クライムシーン』、中国で2016年に放送が開始され、マーダーミステリーブームのきっかけとなったテレビ番組『明星大偵探』の元になった番組なのだそう。中国側が権利を買ったのかどうかはわかりませんが、ともかく時系列的には『クライムシーン』の方が先。しかしながら、今の韓国では、マーダーミステリーは日本の流行という認識なのだそうなので不思議なものです。

韓国で『クライムシーン』が3シーズンも放送されたにもかかわらずマーダーミステリーゲームが流行らなかったのは、そもそもそのような形式のゲームの存在が広く知られていなかったからでしょう。一方中国では、『明星大偵探』の放送の3年ほど前から『Death Wears White』がネット掲示板で話題となっていました。テレビを観て「自分もこの芸能人たちと同じようなことをやってみたい」と思った視聴者が、実際に似たようなことをできる土壌があったわけですね。

日本に遅れてマーダーミステリーが流行り始めた韓国ですが、『クライムシーン・リターンズ』が放送されている今と、シーズン1~3が放送されていた以前とで違うのは、この間に韓国のアナログゲームメーカー・Korea Boardgamesが、グループSNE/cosaicのMystery Party in the BoxシリーズやMurder Mystery Miniシリーズを韓訳して韓国国内で展開していることです。『クライムシーン』シーズン1~3を観ていたかつての視聴者や、リターンズで初めて番組を知った方々が、自分もミステリーの世界に入ってみたいと思った時に、実際にそうできる土壌があるわけです。すなわち、中国のマーダーミステリーブームの立役者が『Death Wears White』と『明星大偵探』とするならば、韓国のマーダーミステリーブームの立役者は『クライムシーン』とKorea Boardgame・グループSNE/cosaicであるといえるのではないか、というのが、先週Mystery Gamesの皆さんにヒアリングした中で見えてきました。

現在韓国で出回っているシナリオは日本のシナリオの韓国語版ばかりで、韓国オリジナルの作品はまだないそうですが、Mystery Gamesがクラウドファンディングを通じて制作した作品が間もなく出版予定と聞いています。いずれ日本にも、韓国で制作されたシナリオの日本語版が入ってくるようになるでしょう。

ところで『Death Wears White』がフランスでAsmodeeから出版されたのは、Board Game Geekによれば2001年。つくづくブームというのはどこでどう火が着くのかわからないものです。


ノートに「スキ」をしていただくと、あるボードゲームの中国語タイトルと、それに対応する日本語タイトルが表示されます。全10種類。君の好きなあのゲームはあるかな?