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逢いたいと遺して死んでいった彼女の手 【恋人との死別】

急変してから亡くなるまでのわずかに起きていられた二日間の中で必死に遺した彼女の最後の言葉

彼女が死ぬ間際に遺してくれた最後の言葉の一部


そう遺して死んでいった彼女の手

彼女の手

彼女は弓をやっていた
「今こんな感じ」
そう言って送ってきてくれた写真

つないであげられなくてごめんね

見る度にそう思う

あなたが最後に必死に遺した言葉は、あなたの周りに居た人達には届かなかったね

彼女はずっと、
二人だけがわかってたらいい
二人がお互いに良ければそれでいい
二人だけでいい
他の人はいらない
と話していた

娘さんください
は、海へ二人で行ってお父様と親代わりだった師匠にだけしてくれたらいいと言っていた
死後に現れる親代わりなんて名乗る方達にしてくれなんて言ってなかった
彼女はその人達の事を親や親代わりのような存在と言った事は一度も無く「今も残ってる友達」と表現していたからね

リアルで結婚式を挙げる時は
私は誰も呼ばない
と言っていた

出来れば二人だけでどこかのご飯屋さんの一室でひっそりがいいな
でも、それじゃデートと変わらないのか
って言ってた

理由は、
それを決めるのは私であって、
私が決めて良いと思ってしてる事を他人の主観等であれこれ好き勝手言われたくないから
だった

彼女はそれでずっと苦しんできたからね

まさか、
この世の最後になる葬儀の場まで周りに居た人達からそうやってされて送り出されてしまうなんて思ってもいなかっただろうね
彼女は命をかけてまで亡くなる前日まで想いを貫き続けたのに
会いたいと願い続けたのに

死後旅立った後、
一方的に親代わりなんて名乗る方から主観や感情で命をかけて大切にした彼氏に好き勝手言われるとは思わなかっただろうね

本当に大切に思うなら、そういうあなたが嫌がることはされたくなかっただろうし、あなたの気持ちを一番に考えてほしかっただろうね

生きた最後の時間や想い、自我を尊重してほしかっただろうね

私はあなた達の所有物じゃない!
そう言ったかもしれない

入院中、
万が一の場合でも必ず会おうね
って約束をした時、自分は籍を入れる話をした
入院する時に保証人の問題があった事もあり、
お見舞い出来るようになったり、退院してから一緒に居るにしても家族である方が出来る事の幅が広がるから…と

受付に届けてもいいけど、さすがにお見舞いの許可がおりてお見舞い出来た時の方がいいかな?
それまで考えておいて
と言った自分に彼女は、
私はここから出れなくて取りに行けないから婚姻届取りに行って持ってきてね
と言っていた

どこまで本気で言ってた事かわからない
でも、付き合った当初家族のいない彼女の家族になりたくて、家族というものを知って欲しくて冗談交じりに「結婚しよ」って言った時には軽く「うん、いいよ」なんて言わずに「もう少し後でね」って返したくらい簡単に約束しない子だったから多少は真剣に考えていてくれたのだろう

せめて、お見舞いの許可がおりるまでもってくれたら…
その約束が叶っていたら…
自分は家族として別れの機会を与えられ、彼女の願いを叶えて送り出してあげられたかもしれないね



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