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そもそも毒親とは?① Toxic Parents

母との関係について書き始めたのはいいけど、エピソードが多すぎて全く終わる気がしない。なんせ私は17歳まで完全に母の支配下におり、控えめに言っても年間300日くらいは罵られてきたのでネタが尽きない。でも、自分で書きながら少しげんなりしてきたし、他にも書きたいことはあるので、時々違う話も挟んでいこうと思う。

今回はそもそも毒親とは?という部分について触れてみたい。近年、「毒親」というワードを本当によく耳にするようになった。今では、もう誰もが知っている言葉だと思う。ただ、その過剰な使用が、なんでもかんでも毒親にしてしまう風潮を生んでいるように感じる。毒親という言葉を利用して親を非難する子供やそれに翻弄される親などだ。私は、たまに子育てブログなるものを読むことがある。そこでは、子供に毒親だと言われて悩むお母さんたちを見かける。彼らが本当に毒親かどうかは当事者ではない私が知る余地もないが、皆、冷静になって(私も含め)毒親の定義を考えてみるべきなのでは、と思った。

毒親というのは元々スーザン・フォワードの著書『毒になる親』(原題:Toxic Parents)からきていて、私もオーストラリア時代に、このToxic(有害)という言葉を非常によく聞いた。親に向けて以外にも、ある個人や人間関係、環境、そして行動や特定の考え方などに対する否定的な評価としてよく使われていた。

例えば、

• Toxic person(例:自己中で批判的、他人を操作しようとしたりする人間)
• Toxic relationship(例:モラハラ夫とその妻、共依存など不健康な関係)
• Toxic environment(例:ブラック企業、搾取)
• Toxic behavior(例:根拠のない噂話や陰口、攻撃的な態度、印象操作)
• Toxic positivity(例:無理にポジティブを保とうとしたり、他人に押し付けたりすること)

などが挙げられる。

このToxic〇〇 という使い方と、スーザン・フォワードのToxic parentsはどちらが先かはわからないが、一緒にいると心の平和が保たれない、どこかざわつく人物や状況や環境についてToxic〇〇と表現される。

ということは、Toxic parentsも上記の性質を持つ有害な親ということになる。彼らは子供を支配・操作し、不健全な親子関係の中で生きている。そのような親が支配する家庭環境も当然有害であり、子供の健全な成長や心の安定を損なうといったとこだろうか。まさに毒を持つ親というイメージ通り。

単純明快なこのよくできた毒親という言葉が広まったことで、問題認識が進み、被害者が声を上げやすくなったのは良いが、その意味が曖昧になりつつあるように思う。毒親というレッテルを過度に使用することは、逆に問題軽視にも繋がる可能性もあるし、本当に支援が必要なケースが見過ごされるかもしれない。気軽に発する前に言葉の意味を考えて冷静になることも必要かなと思う。

今回は英語圏でのToxicの使われ方を踏まえつつ、毒親とは?を考えてみた。次回は毒親という言葉の生みの親であるスーザン・フォワードの『毒となる親』を読んだ感想などについて書いてみようと思う。


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