見出し画像

マルチポテンシャライトとUSP

はじめて「マルチポテンシャライト」という言葉を目にしたのは、
noteの中だった。

マルチポテンシャライト関連の記事がお勧めに出てきた時には、
「何かの鉱物なん?」
という印象だった。
私がパッと思い浮かぶものと言えば、フローライト(蛍石)あたりだ。
化学好きということもあって宝石や鉱物には興味があった。

だがググってみると、残念ながら鉱物というわけではないらしい。


「マルチポテンシャライト」って何?

「まさか、マルチビジネス関連の言葉じゃないだろうな」
ググる時に、一瞬不安になった。
というのも、これまでに私はnoteの中で、
詐欺を啓発するような記事をたくさん書いてきたからだ。

実際に検索結果を見てみると、
マルチポテンシャライトとは、
「さまざまなことに興味を持ち、
多くのことをクリエイティブに探究できる人のことで、
自分の好きな複数の分野で活躍できる才能を持つ人のこと」
らしかかった。

「なんだ、面白そうな新種の鉱物のことじゃないのか・・・」

中身はこれまでに知られている「器用貧乏」や「HSS型HSP」を
ポジティブに言い換えただけのものといった印象だった。

器用貧乏と言ってしまうと、
飽きっぽい性格を見下しているような感じになってしまう。
HSS型HSPだって、
精神的に問題を抱えている人という印象を持たれやすい。
どちらにしても、他人から言われるとうれしくない言葉だ。

人を指す言葉なんだったら、
「マルチポテンシャラー」だとか
「マルチポテンシャリスト」とかいうネーミングだってあったはずだ。
それをわざわざ鉱物をイメージさせるようなネーミングにしているのは、
いかにも「才能の原石」をイメージさせるような感じがあった。
キラキラ感のある、なかなか上手いネーミングだと感じた。

この言葉を提唱した人は、
TEDトークと呼ばれるものに登壇した講演家らしい。
ネーミングの巧みさもあってか講演の動画再生数も伸びたようで、
それが世間一般に「マルチポテンシャライト」という言葉が
広まるきっかけになったようだった。

自分にも当てはまっていた

このマルチポテンシャライト、
実は私にも当てはまっていた。

脳科学や心理学に興味を持ち、
文章を書くのが得意で、
ライターの仕事をしたり、マジックをやったり、
さらにはラップにも興味がある。

一時期にはブログ運営にも力を入れており、
いろいろやり過ぎているせいで顧問税理士の先生からは、
「何をやってるのか、よくわからない」
と言われてしまう始末だった。

「確かに、自分も好奇心旺盛なところがあるよなぁ」

自分では自分のことを器用貧乏の典型例だと思っていた。
だが、マルチポテンシャライトという言葉を知ってからは、
これからは自分のことをそう呼ぼうと思えた。

あなただけの「強み」って何ですか?

いろんなことに興味があるとは言っても、
好奇心旺盛な人は、すぐに飽きてしまうということも多い。
そうなると、どれもスキルとしては、中途半端なものばかりだ。

「さすがに仕事でスキルを生かすとなると厳しいなぁ」

誰かにサービスを提供してお金をもらうとなると、
一定以上のスキルはどうしても必要になってくる。
そのことは独立開業する時に、
顧問の税理士の先生からも言われていた。

「さぁどうする?」という時にひらめいたのが、
とあるインフルエンサーの考えだった。

たとえ中途半端なスキルであっても、
それらをうまく掛け合わせるとこで、
簡単に何万人に一人の人材になれる。

複数のジャンルを融合させることで、
自分独自のジャンルを簡単に作ることができる。
そうすることで、自分がその分野での第一人者に簡単になれるのだ。
この考えを最初に知った時には、
「そんな手があったのか!」
と、まるでゲームの裏技を教えてもらったようだった。

どうやったらモノやサービスが売れるのかを探求する
マーケティングの世界においても、
独自色を出すというのは非常に重要なことで、
USP(Unique Selling Proposition)
というのがある。
早い話が、「自分だけが顧客に提供できる強み」のことだ。

独立した当初、
私は文章の書き方を教えるサービスを提供していたことがある。

普通に書き方を教えるだけだったら、
国語の先生や出版社の人で副業で教えている人には勝てない。

そこで、ビジネス心理学のセミナーで取得した資格と掛け合わせて、
脳科学や心理学を活用して伝わる文章の書き方を個別にアドバイスする
というサービス内容にした。

「実績ゼロだけど、大丈夫かな」

誰でも最初は実績ゼロで、そこから1を作り出すのには苦労するものだ。
お客さんがちゃんと来るかと心配だったが、
オリジナリティの高いサービスにしたことで、
うまい具合に最初のお客さんを獲得することができた。
自信をつけることができたのは、
個人で事業をやっている身としては、大きな財産になった。

インフルエンサーに欠けていたもの

複数のスキルや経験を掛け合わせて独自のジャンルを作り上げ、
そこで第一人者になるという戦略は、
一見するとうまくいったかに見えた。

ところが、後に先輩ライターの指摘によって
思わぬ落とし穴に気がつくことになった。

「いくらスキルや経験を掛け合わせて新たしいものを作っても、
それにニーズがないとサービスとして成り立たないよね」

私自身、この先輩ライターに直接会って言われたというわけではない。
Voicyで音声配信されていたのをたまたま聞いて、
思わずハッとさせられたのだ。

実際、脳科学や心理学を使って文章の書き方を教えるサービスは、
思うように集客できずに打ち切ることになった。

代わりにニーズがあったのが、
企業のオウンドメディア向けの記事作成のサービスだった。

文章を書くのが得意で、
検索エンジンのことも理解しており、
税理士事務所での経験やキャリアコンサルタントの受講経験もあって、
お金やキャリアのことをよく分かっている。
そんな他のライターにはない強みがあったおかけで、
大手企業のオウンドメディアでの仕事を取ってくることができた。

「ニーズを把握しておくのも、大事だよなぁ」
これが、失敗と成功の両方を経験した私の感想だった。

いろんな才能に磨きをかけるというのも大事だが、
それと並行して、
いかにして商品やサービスを売るのかというマーケティングを学ぶのも、
うまくやっていく上での重要なポイントになってくるだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?