【ガチ書評】ロックリー・トーマス著 「信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍」前書き

本投稿は何かと話題の、ロックリー・トーマス著 「信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍」の書評の序文である。

なお、姓名の順番は日本にならい、ロックリーが姓、トーマスが名である。
個人的には、「ややこしいからやめてくんないかなそういうこと」と思うと同時に、こういう余計な事しいが著者の人間性を表しているようで微笑ましい。

さて、本題に移る。

「信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍」の目次は以下のとおりである。

第一章 日本上陸と信長との謁見
第二章 弥助の経歴を紐解く
第三章 現代に伝わる弥助伝説
第四章 弥助が生きた時代
第五章 弥助はどこから来たのか
第六章 信長の死後の弥助
第七章 弥助の生涯を推測する
付録 第一章「日本上陸と信長との謁見」に関する補足史料
謝辞
著者あとがき
訳者あとがき
原注および参考文献 図版一覧

第一章は、弥助の日本での活動を「物語形式」で描写しているほか、若干の考察、時代背景の解説がある。
話題になっている「日本の名士の間で黒人奴隷云々」の記述箇所はここである。

第二章は、イエズス会の書簡、信長公記、家忠日記の一次資料を基に、弥助の経歴を解説している。
著者の味付けはあるが、ここの章さえおさえておけば弥助については充分だと言えるだろう。

第三章~第六章は第一章と第七章の根拠を示している。
なお、根拠と言ってよいかは読者の判断次第であることを申し添えておく。

そして待望の第七章では、弥助の生涯が「物語形式」で語られる。
七章の間に一章を差し込めば完全版のできあがりである。

付録と謝辞は割愛し、著者あとがきでは、この本のスタンスがかなり「最大主義者的」寄りであることが書き添えられている。
個人的には「前書きで書けよ」と思った。
だって、そうでしょ? 前書きに書かないとどんなスタンスで読めばいいかわかんないじゃん。
訳者あとがき。ここで訳者もクセつよであることがわかった。

全文読んだ印象としては、「この本は一か所を切り取ると誤った歴史認識を持つかもしれない」である。
それは著者が巧みに誘導しているのか、素でそうなっているかは不明である。
あとがきまできちんと読み込んで成立する、と思ってほしい。

次は「一章 日本上陸と信長との謁見」を取り上げる。

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