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植栽管理を契機としたストリートマネジメントの可能性

4月の話の報告を今頃まとめてお恥ずかしい限りですが、紅梅通りで植栽のメンテナンスワークショップを主催した話です。一度限りのイベントではあったのですが、沿道のエリアマネジメント(ストリートマネジメント)に繋がりそうなエッセンスがいくつかあったので、イベントの記録用とともに書き留めおきます。

紅梅通りの植栽とワークショップの経緯

紅梅通りの植栽とは、ズバリこれらのこと。紅梅通りの舞鶴通りからオリオン通り区間にかけて、デザイン性の高い木製のプランター等(14箇所)に、センスの良い植物が植わっています(ちなみに街路樹自体は行政管理)。

紅梅通り植栽維持管理計画 (1)

紅梅通り植栽維持管理計画 (2)

設置されたのは、平成26年度に実施された紅梅通り文化祭がきっかけ。沿道商店主の有志が発案して、管理は沿道の商店街が行うという役割分担でした。
市内の道路植栽の中で、個人的には最もセンスが良いと感じており、インターロッキング(赤いタイル状)の舗装とあいまって、紅梅通りのイメージアップに貢献し続けたと考えています。しかし、商店主の入れ替えもあり、メンテナンスが追いつかなくなり、植栽が枯れたり、逆に大繁殖したり、という状況で、プランターも車にぶつけらる等の破損も散見されていました。

この植栽を手がけたLa Feuilleさんとは、祖母の空き家再生プロジェクトである「ONANDO」で知り合い、庭の維持管理ワークショップを実施してもらった仲。今回もワークショップ形式で一旦植栽の原状回復を図る為に、商店街組合と共催で、4/10(土)に「紅梅通り植栽ワークショップ」を開催したところです。

210323_植栽ワークショップフライヤー

ワークショップ当日の様子

午前の部に12名、午後の部7名の皆様に参加いただきました。noblesse OBLIGEさんに至っては、スタッフ総出で、オープン前の忙しい合間を縫って参加いただきました。特に前半は伸びきっていた大型プランター2つの処理に一苦労。ビフォーアフターを見ると分かると思いますが、だいぶスッキリしたと思います(アフターの写真を撮り忘れて、新緑眩しい5月の写真なとなっています。Beforeより緑感が強いのは、このためです)。また当日の写真撮影は、つづり舎にもご協力いただきました!(この場を借りて改めてありがとうございます)。当日の様子はスライドショーにまとめましたので、よろしければご覧ください(スライドショーにつける著作権フリーの音楽を募集しています(笑))。

紅梅通り植栽維持管理計画 (3)

紅梅通り植栽維持管理計画 (1)

紅梅通り植栽維持管理計画

"ガーデニング愛好者"の多さと”自分事”の大切ささ

前回のONANDOでのワークショップ、そして今回の紅梅通りのワークショップ双方、ガーデニングに関する世の中の関心の高さを感じます。もちろん、La Feuilleの今村さんの"ファン"が多いという側面もあるだろうし、このコロナ禍でのおうち時間が増え、庭づくりに対する関心が高まっている背景もあるのでしょう。

まちのストリートの植栽を手入れすることは立派な「まちづくり」だと思うのですが、このイベントを「まちづくり」と大々的に銘打ったら、果たしてここまで集まっただろうか...。世の中の人の多くは「まちづくり」に関心があるようで、自ら行動するほどではない、というのが実態だと思います(私はこの分野にずっといたので、実はこのギャップに気づくのに結構時間がかかりました)。しかし「植栽の維持管理を学ぼう」という切り口にすれば、一気に「自分事」に感じて、そして参加という決断をしてくれる。これが通り(ストリート)の新たな価値となり、ゆくゆくは沿道の不動産の価値向上が図られれば、立派なまちづくりへの関与ではないでしょうか。

まちづくりとは、便利な言葉であるけど、結局「誰のものでもない」のではないか。「みんな」という言葉に通じるものがある。自分事にしてくれるための、切り口や情報の出し方が、非常に大切なのだと思いました。最近、それが、「まちの関わりしろ」を作るという事だと理解しています。

持続可能なメンテナンス体制に向けて

さて、今後の話。もともと、当初の植栽計画時点で「あまりメンテナンスがかからない植物」を植えてあり、かつ今回のワークショップでは、"強剪定"なる対応で、しばらくは大きなメンテナンスをしなくても大丈夫のようです。しかし、日々の水やり、雑草抜きなどの小さな対応や、いずれは剪定も必要になります。この体制をどのように構築するかが今後の課題です。剪定から早2ヶ月。沿道を通っては、気になる雑草を密かに抜いています。しかし、どれが雑草なのかわからないのが悩みで、そこは専門家のLa Feuilleさんのアドバイスをもらいながらの作業が必要そうです。

紅梅通り植栽維持管理計画 (5)

また水やりも問題。夏は2回、冬は1回ほど、プランターの土が湿る程度に水やりを行う必要があるのですが、プランターの体積から計算すると、小さいもので1回あたり概ね12リットルが必要。その水道代の負担も今後考えていかなければなりません。

商店街組合が設置したものだから組合が引き続き管理のために費用負担すれば話は早そうに思われますが、城南商店街振興組合のエリアは広く、直接の受益者でない商店主の方々はどう思われるのか。維持管理は数年、数十年に渡るものなので、持続可能な仕組みを作ることが非常に重要だし、難しい課題だと感じています。

受益者負担の観点から言えば、この沿道の方々が費用を出し合って中心に管理していくのがシンプルですが、例えば、紅梅通りファンクラブ的なものを作り、沿道以外の方々でも「紅梅通りを好きな人」がお金と人手を出し合って、維持管理する方法もあるのではないでしょうか?このワークショップをきっかけに、「まちとの関わりしろ」ができた方々と協力する。そんな仕組みも模索する方向もありそうです。

ストリートは誰のものか?公共の道路であれば「みんな」のものであるが、「みんな」と言った途端、誰のものでもなくなってしまう。非匿名性、自分事感が強い公共空間もあってしかるべきではないか。そんな持続可能な公共空間、ストリートマネジメントの実現に向けて、引き続き挑戦していきたいです。

活動にご興味ある方は一緒にやりましょう!連絡お待ちしています。




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