保持力の鍛え方を再考する

前回の投稿では、保持力の性質に関してお伝えしました。

今回はその収縮様式についてお伝えします。

筋肉の収縮様式は3つあります。
①求心性収縮 : 筋肉が縮みながら張力を高める
②遠心性収縮 : 筋肉が伸びながら張力を高める
③等尺性収縮 : 筋肉が長さを変えずに張力を高める

懸垂中の広背筋でイメージしましょう。
上に上がるフェーズは①、上がりきった場所で止まるのは③、ゆっくり降りるフェーズは②

保持は③です。

保持力を具体的に言い換えると「瞬間的に等尺性収縮で筋力を発揮する能力」となります。

瞬間的に筋力を発揮する能力は、力の発揮率(RFD)と言われ、いかに短い時間で強い力を発揮するか、という能力です。

等尺性収縮による力の発揮率を「Isometric RFD」と呼びます。

つまり保持力を鍛えるということは、「指屈筋のisometric RFDを鍛える」ということになります。

コンタクトストレングスも、これに当たります。
コンタクトストレングスはクライミング特有の言葉になりますので、専門的に言い表すと上記のような表現になります。

鍛えるべきは「筋力」であること、「等尺性isometric RFD」であることが分かりました。

ではどのようにプログラムを立てるか。

等尺性筋力トレーニング(IST)では、最大強度の向上を目的とする場合、最大収縮の80%〜100%で、1〜5秒間の持続的な収縮を合計で30〜90秒間行う、というガイドラインがあります。

フィンガーボードでギリギリぶら下がることが出来る厚みで、可能であれば加重して、可能な限り早く体重をかけて(ぶら下がる)、最大5秒持続する。
大事なポイントは負荷です。
最大でも7秒程度しかぶら下がることが出来ないくらいの負荷にする必要があります。エッジの薄さでも、重量でも良いです。

可能な限り早くぶら下がるのは、加速度をかけるためです。ゆっくり、姿勢を作ってから足を離陸させると加速度がかかりませんので、力の発揮速度が緩やかになります。

ここで懸垂は、一旦無しで良いと考えています。
というのも、懸垂する目的と保持力を鍛える目的が異なるからです。
懸垂で鍛えるのは腕を引く力ですので、そこを鍛えるならしっかり握ることが出来る鉄棒のようなもので鍛えた方が効率的です。

是非お試しください。


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