「保持」はストレングス

クライミングで、おそらくもっとも大きなファクターである「保持力」。
これは「ストレングス」なのか「パワー」なのか。

私個人の考えとしては、保持はストレングスであると思っています。

ストレングスとは、"最大限の力を産生する能力"を表します。最大筋力という言葉に置き換えることが出来ます。例えば、ベンチプレスの最高重量などは最大筋力と言えます。

パワーとは"素早く力を発揮する能力"を表します。これは「単位時間あたりの仕事率」,「力と速度の積」です。例えば、垂直飛びの高さで評価できるものは、パワーにあたります。

だから何?
と思われるかもしれませんが、この違いがあると、鍛え方がガラッと変わってきます。

ストレングス(最大筋力)はダンベルやマシン、ウェイト等を使用した高負荷のトレーニングで強化していきます。
パワートレーニングは、メディシンボールスロー、ジャンプトレーニング、オリンピックリフティングなど、速度と高負荷を伴うトレーニングです。

爆発的な動きを伴うものをパワー、高負荷トレーニングをストレングス、とイメージしていただけたらと思います。

そのイメージで、クライミング中の「保持力」を考えます。

そもそも保持は浅指屈筋や深指屈筋といった屈筋が働いています。
爆発的……では無い……ですよね。
むしろ「ガチっ」と止まるイメージや、微動だにしないイメージがあると思います。

現時点では、どちらかというとストレングスですよね。

ただ、一般的にストレングスを鍛える方法はウェイトトレーニングを始めとするレジスタンストレーニングですが、保持力を鍛えるようなフィンガーボードのトレーニングと比べるとどうか、考えていきます。

大胸筋を鍛える代表的なベンチプレスと比較しましょう。
筋力を鍛える際には、ほとんどが動きを伴います。ベンチプレス、肩と肘が動きますよね。

一般的に多く実践されている保持のトレーニングというと、キャンパシングボードやフィンガーボードでの懸垂、ぶら下がりだと思います。
この時の指は動いていないです。動くのは肩と肘なんです。

つまり、加速度を生み出す「パワー」が必要なのは肩と肘であり、保持力はその場で留まる「ストレングス」が必要になります。

そうなると、指の保持力の鍛え方は考えないといけませんね。

次の投稿では、指の筋活動様式とその鍛え方の考察をしていきます。

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