米大統領選挙結果は為替相場に影響がありますか?
※こちらはオンラインセミナー「超実践FX~マネ育トレーニング」の講演内容をベースにしています。
米大統領選挙結果は為替相場に影響がありますか?
<マネ育相談BOXに寄せられたご質問>
米大統領選が注目されていますが、選挙結果は為替相場に影響がありますか?
大統領選だけに限った事ではありませんが、やはり事前予想と大きく異なる結果となった場合に動くケースが多いです。
現時点ではバイデン氏が優勢に立っているような印象で、マーケットもそれを徐々に織り込みつつあります。
そのため、仮に予想外の結果となった時はやはり市場への動揺は大きなものになるでしょう。
前回の米大統領選を振り返ってみると、選挙直前の世論調査等ではクリントン氏に軍配があがっていましたが、開票作業が進みトランプ氏の優勢が徐々に明らかになると、株式市場が大きく下落したほか、ドル/円相場も4円ほど反落しました。
ただ、トランプ当選が確実になると、事前予想とは反対に株式市場は反発し、ドル/円も投票前の水準を上回る勢いで買い戻しが進みました。
さて、今回の米大統領選の注目ポイントをいくつか見てみましょう。
まず、第二次世界大戦後、現職大統領は11回中8回が当選していることから、現職大統領が再選する可能性は過去の事例から言えば高いでしょう。
しかし景気が好調、つまり失業率が低い場合には支持率が高く当選する確率も高い反面、反対に高失業率の場合には当然有権者の不満も高まるようで、実際に現職大統領で敗れた3人はいずれも直近の失業率が7%を超えていました。
10月2日に発表された9月の失業率が7%超だった事を踏まえると、トランプ政権の評価にも影響を与えると言えるかもしれません。
また、以前はトランプ氏勝利であれば「株高・債券安」、バイデン氏勝利なら「株安・債券高」という見通しが主流でしたが、バイデン氏勝利でも株高・債券安とシナリオにも変化が表れてきました。
シナリオを変化させたのはトリプルブルー(トリプルブルーとは、米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利し、議会選挙でも上院・下院ともに民主党が制することを示す。なおブルーは民主党のイメージカラー)による財政拡大観測でしょう。
トランプ政権が提案する追加対策案は1.8兆ドル規模なのに対し、民主党の追加経済対策の規模は2.2兆ドルとなる事などから、「トランプ氏よりも景気刺激的になるのではないか」との見方が強まっているためです。
注視したい点としては、新型コロナウイルスに感染するリスクを警戒して、今回は郵便投票を選ぶ有権者が多くなる可能性が高い事から、勝敗の確定が11月3日の投票から大きく遅れるという、異例の状況になるとの見方が強まっています。
そのため、今回の大統領選の開票中から結果が出るまでの間は不安定な推移となる可能性が高いでしょう。
その他、トランプ氏は敗北した場合にも、結果を受け入れない(敗北宣言をしない)可能性があることを危惧する声も高まっています。
仮にバイデン氏が勝った場合は、その後のトランプ氏の言動に対する警戒感で相場が激しく動くことが想定されます。
なお、現在、米国では、2018年の中間選挙以降、共和党のトランプ大統領、上院は共和党、下院が民主党というねじれ状態が続いています。
大統領選挙と併せて行われる議会選挙の結果についても、ねじれ状態が解消されるか注目すべきでしょう。