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現役

映画も公開され、再び盛り上がっているスラムダンク。
そのハイライト、絶対王者山王に無名の湘北が勝った「漫画のような」一戦、実は似たようなことが現実で起こったことがある。

1986年高校総体岡山大会。当時インターハイ7連覇中の秋田県立能代工業を準決勝で破ったのが、数年後に私の母校となる、全国的にはほぼ無名の石川県立七尾高等学校だった。その奇跡的勝利と準優勝の影に若干隠れてしまったのだが、実は女子の石川県代表である県立中島高等学校も、その岡山インターハイで3位になっている。その中島高校の監督が父だった。当時、母と弟と新幹線に乗り応援に行ったことをなんとなく覚えている。

あれから36年後の2022年12月23日、父の姿は高校バスケの総決算的な大会、ウインターカップの会場にあった。父は石川県代表の鵬学園女子バスケットボール部のヘッドコーチを、この大会を最後に勇退することがきまっていた。中島高校の後に赴任した全ての学校で、女子チームを全国大会に出場させるというバスケの指導者として素晴らしい成績を残してきた父も74歳。最近ようやく後継者的な人物が見つかったらしく、この決断に至った模様。

一回戦、対鳥取城北戦は緊迫したゲーム展開ながら終盤に突き放し勝利、2回戦は東北No.1の青森代表、柴田学園。
父は前の日にLINEで「明日はきついな。精一杯頑張ってみます」と返事をくれたのだけど、なんと第3クオーターまで12点差でリードする。しかし最後の最後で逆転、3点差での惜敗だった。

めちゃくちゃ悔しそうな父の後ろ姿を見送りつつ、でも74歳までバリバリ現役という事実に素直にすごいなあと思っていた。父とは全然違うギャラリストという道を選んだのだけど、74歳まではとても続けられないと思う。(ギャラリストって普通どれくらい続けられるものなのだろう)オトン、とりあえずお疲れ様でした。

生徒より少し後からバスに向かう

ヘッドコーチ引退後、バスケ以外に趣味もない父が一気に衰えるのが心配だったのだが、第一線からは退くものの、学校側からの依頼でどうやら「総監督」として引き続きチームには関わっていくらしい。息子としては正直少し安心した。

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