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【試し読み】神さまのインク

こんにちは、タケシタミキです。

散歩に出るための写真詩集『神さまのインク』を近日中に発売予定です 2022年11月に発売しました。

イベントや書店のほか、オンラインでも販売しておりまして、実物をお手に取って検討することが難しい方のために冒頭部分を掲載いたします。

末尾に、制作に込めた思いのような文章も記しましたので、ご興味が湧いたらお目通しくださいませ!

冒頭部分 試し読み

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仕様:ソフトカバー / 正方形(182mm) / 本文34頁



制作に込めた思い

突然ですが、実は2022年、心身の不調に臥せっていた時期がありました。(いきなりすみません!今はすっかり元気です!)

HPがもう尽きる…MPはとっくに0…スライムにすら遭遇したくない…。そんなピンチな状態で体力気力を振り絞り、私はある晴れた日に関東近郊の観光地へ向かったのです(何となく癒される気がしたから)。

いわゆる観光名所をよぼよぼと半日かけて巡り、そろそろ帰るかという頃。西陽が木々の間からインクをピシャッと撒くように地面に落ちる様子が目に入りまして。

それは日中巡った名所と比べれば何てことはない、平凡な景色だったはずなのですが、その日の私にはいっそう眩く映ったのでした。

これは上野

これからの生活のこと、健康のこと。頭の中の色んな自分事にとらわれてばかりだった私が、その西陽をきっかけとして久しぶりに、周りの風景にピントを当てて見ることが出来たのかもしれません。

そして(綺麗な風景って案外身近にあるのかもしれない。きちんと見つめたい、残したい…)とぼんやり考えたことが、制作の原動力になっていったように思います。

月並みな言葉で言えば、私が綺麗だと思ったものを、私のために残したいと考えた、ただそれだけの話です。最初は自分を癒すためのごく内向きな表現で、紙に起こすつもりもありませんでした。

表参道

けれど順調に快復してからも、散歩風景の写真とキャプションのような詩をSNSに流していく中で(ひょっとしたら、私の他にもこういう作品を必要としている人がいるかな…)と段々思い始め、本にまとめる方向で動き出しました。

この収録作品たちにドラマチックなエネルギーは無いかもしれません。だけど、家からそう遠くない範囲にこんな風景が広がっているかもよ、というメッセージを淡々と伝えることはできるし、それとなく散歩を促すことくらいできるかもしれない、と思ってしまったのです。

そして私がそうであったように、散歩は思いがけず人の気持ちを救ってくれることがあるだろう、とも。

祖母の家

私は実際に出掛けたことで救われたひとりですが、ここでいう”散歩”は必ずしも、外を出歩く行為でなくても良いかもしれません。

眠る前のわずかな自由時間に、自宅から最寄り駅までの道のりに思いを馳せるのだって立派な散歩です。そういえば曲がり角の花はもう咲いたかな。今度ベーカリーの前を通ったら季節の新作を買っちゃおう。など…

この本を手に取ってくださった人が、それぞれの方法で散歩にくり出し、身の回りの風景を見つめ直すお手伝いができれば、作者としてこれ以上に嬉しいことはありません。どうか良い出会いとなりますように。

2022年9月15日
タケシタミキ

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